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〇月〇日  作者: by sky kt
ある姉の日常その2
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7月11日

7月11日 


あの人がいなくなってから灰色だった私の生活は、昨日の良い知らせがあったおかげで、少しだけ色を取り戻していた。


それは周りからもそう見えるそうで、友達からも「今日はご機嫌だね」と何度も言われるくらい今日の私は印象が良好らしい。


思い返すと、あの人がいなくなってからずっとピリピリしていたからな、私。


だから今日の放課後に友達と久しぶりの寄り道をすることになった。


友達からの誘いで、理由は今日がチャンスだと思ったかららしい。


てか、チャンスって何よ?


……そんなに声かけづらい空気出してたのかな、私。


ちょっと反省しなきゃ。


寄り道をすることにした私は、友達と二人で地元で結構大きなゲーセンに寄って音ゲーやプリを撮ったりして、その後は近くのカフェでお茶して他愛もない話でかなり盛り上がった。


とは言っても、基本私は聞き手側になることが多く、今日も例外なく友達の彼氏の愚痴という名の惚気話を聞きまくっていた。


この子と彼氏さんとの惚気エピソードは中々奇想天外な事が盛りたくさんで、最近そんな話をする機会がなかったせいか、思った以上のおもしろ話があり笑いが止まらなかった。


そして友達は私が笑ったことに対して怒ってきて、私はそれをなだめて次に愚痴(面白話)をするように促す。


そんななんてことのない日常の一端を何度も繰り返した。


それは普通過ぎて、くだらなくて、……とてもとても楽しかった。


帰り際に友達が聞いてきた些細な一言がある前までは。


いざ飲み終わった飲み物の容器を片付けようと思った矢先にことだった。


悪気や悪意はない言葉は私の心に霧を生じさせる。


『私の好きな人』


その質問を問いかけられた時、私の頭の中にはあの人がすぐに浮かび上がっていたが、私はすぐに答えることができなかった。


私はこの瞬間まで、あの人のことを忘れて平凡な学生の青春を送っていたと気が付いた。


別に今日初めての寄り道ってわけじゃないのに、こんな考えをしたのは今日が初めてだ。


あの人がいないからこう考えたのか、それとも今日の私が本当の姿なのか。


このもやもやした思いは寝る前まで続き、そのせいか今日一日あの人の部屋に入ることなく寝ようとしていた。


私は寝る前にあの人の部屋に入り、改めて答えを考える。


自分の2倍以上歳の離れた異性を一途に愛することと、何気ない平凡な毎日を過ごして一生に一度の青春を謳歌していくこと。


私にとっての幸せはどっちなんだろう。


………いや、これはとても愚考だね。


やっぱり今の私は本調子に程遠い状態だったようだ。


あの人の部屋に入ったおかげで思考が澄み切ることができた。


こんなこと思い悩む問題じゃなかったね。


…ねえ、貴方もそう思うよね?


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