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僕の異世界(?)見聞録  作者: ナカマヒロ
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1日休みと世界の仕組み

 人の気配を感じて目を開けると、侍女のアマリカさんが居た。


 「おはよございます?」

 「おはようございます。ご気分は如何ですか?」


 気分?

 ベッドから起き出そうとして身体に倦怠感を感じた。

 おかしいな、ここ最近は補助アイテム外しても倦怠感を感じることなんてなかったのに。と、自分の指を見ると補助アイテムはいつもの通り指に嵌っていた。


 「陛下をお呼びしてきますね」


 僕の様子を見てアマリカさんが部屋を出て行った。

 僕は、どうして王城の部屋で眠っていたんだっけ?

 昨夜のことを考えて、


 そうだ。

 あれから何度も失敗して、それから、疲れて眠っちゃってた?


 部屋の時計を見ると午前11時。

 大幅に寝坊だ。ラズリィーが心配しているだろう、連絡しないと。

 そんなことを考えていると良さんがやってきた。


 「吹雪君、おっはー。あー、寝てて寝てて。中院家とマキちゃんには連絡入れておいたから」

 「あの、僕、瞬間移動テレポートの実験をしてて」

 「うん。ここに戻って来たはいいけど戻れなかったんでしょ?」

 「はい」


 良さんは、ベッドの側に来て僕の額の上に手を置いた。ヒンヤリとして心地いい。


 「まだ熱があるね。今日は1日休み。寝てなさい」

 「熱?」


 どうりで身体がだるいわけだ。


 「吹雪君、相当何度も挑戦したでしょ?上手く発動できていればここまで疲労感はなかっただろうけど。不発を連発したら不完全燃焼起こしてダウンしても仕方ないよ?上手に出来なかった時は時間をあけなさい」


 どうやらムキになって何度も繰り返したのがよくなかったらしい。


 「はい。すみません」

 「うん、倒れるまでやる根性があるのは良いことだよ。さすがに良ちゃんもこれは想定してなかったわー。ごめんねー」


 良さんは部屋のイスをベッドの横に持ってきて僕のすぐ横に腰掛けた。


 「あせって色々頑張らなくてもいいからね?とりあえず食べれそうなら軽いモノを用意するから、食べてゆっくり眠りなさい」

 「はい」


 良さんはしばらく僕の様子をみながら世間話をして部屋を出て行った。

 その後、アマリカさんが持ってきたお粥を食べて少し眠った。

 目が覚めたら薄暗くなっていた。時計を見ると午後6時半。思ったよりもぐっすり眠ったようだ。

 ベッドの中で寝返りを打ってみる。

 うん、動けそうだ。

 ベッドから出てテーブルに置いてあった軽食サンドイッチとカットフルーツをソファーに座って食べていたらコンコンとノックの音が聞こえた。


 「はーい」


 返事をすると、甲斐さんが入ってきた。


 「こんばんは。もう起きても大丈夫なのかい?」

 「はい。ご心配おかけしました」

 「うん、そのまま座ってて。食べれそうなら全部食べなさい」


 甲斐さんに促されて食事を再開する。甲斐さんは僕の正面に座った。


 「そういえば、マキが『ドラゴンは食べられるのか』って聞いてきてたけど、まさか迷宮ダンジョン50階層下に行くつもりなのかい?」


 あ、マキちゃん、本気で聞いたんだ。


 「まさか。今はまだまだ無理ですよ。やっと10階層ですから」

 「そ、そうかい。まあ、出来ればドラゴンは希少だから食べないでやってあげておくれ」


 希少なのか。しかし、倒してしまった場合は食べないともったいないような気もする。


 「えーと。戦闘になって倒してしまった場合はどうすればいいでしょうか?」


 僕の質問に甲斐さんはしばらく考え込んだ後、


 「私はそこまで到達したことがないからねえ。ドラゴンがどの程度、好戦的なのか知らない。倒してしまった場合は、食べてもいいのかもしれないねえ」

 「甲斐さんは、迷宮ダンジョン攻略はしないんですか?」

 「子供の頃には行ったけどね。公務もあるし、あまり真剣に取り組んだことはないよ」

 「そうなんですか」


 前人未到の迷宮ダンジョンがあるのに挑戦しないなんてもったいないと僕は思うけれど、甲斐さんは自分の職務に勤勉で誠実なんだな。


 「そういえば迷宮ダンジョンって5階層ごとに転送陣がありますよね?あれは誰が設置しているんですか?」

 「ああ、あれは最初から存在する機能だよ。この世界の創造神の遺跡と言われている。だから、地上部分にある転送陣と仕様が違うんだ」


 創造神の遺跡。

 なんともファンタジーな話が出てきた。


 「あの機能があるせいで、我々が持っている移動系能力スキル迷宮ダンジョンでは使えない。使えれば攻略も本腰をいれられるのかもしれないが、現状、危険が大きくて手が着けられないね」

 「あー。そういえば、自分で瞬間移動テレポート出来たらモンスターも回避しながら進めますもんね」


 迷宮ダンジョンには何か制限というかルールがあるのかもしれない。創造神さんはなぜ、そんな怪しい地下施設なんかを作ったのだろう。

 地下施設?


 「今の最大到達階層は350階層って聞いたんですけど、1階層もかなり広くて高いですよね?そんなに深いとマントル?地核?とかにぶちあたっちゃいませんか?」

 「うん?ああ、もしかしてそこまで講義が進んでいないのかな。この世界は君の住んでいた世界とは違って惑星ではないから、地下は無限に存在するよ」

 「え?」


 惑星ではない。となると、夜に見える星々、毎日昇る太陽などはどうなっているんだろう?


 「私も専門家じゃないから上手く教えてあげられないけれど、この世界の広さは未だ安定していない。君たちの世界にある、オンラインゲーム?みたいに無限に土地が続くし、急に区画ごと消滅することもある。原始種族の塔を中心に黒・灰・白の領土は有史以来、消えたこともなく安定しているけれど、その外の土地はいつ増えても消えてもおかしくない状態だ」


 甲斐さんの言葉を頭の中で整理する。

 つまり、オンラインゲームでいうところの、サービス開始からある基本マップは不変に存在するけれど、その他のマップはイベントで足されたり消されたりする?みたいな解釈でいいのだろうか?

 それって、つまり創造神様がサービス終了のお知らせしようと思ったら丸ごと消されてしまうということだろうか?

 急に自分の住んでいる世界が消滅すると考えると怖い。とてつもなく怖い話だ。

 僕の顔色が悪くなっていったことに気が付いた甲斐さんがフォローを入れてくれる。


 「創造神の考えはわからないけれど、他の神々からも3領地に関しては不滅の確約があるし、現在存在する姫巫女の中に、世界を安定させる能力スキルの巫女姫もいるからね。心配しなくて大丈夫だよ。具合の悪い時に後ろ向きな話題になってしまって申し訳なかったね。心配ないから、安心して眠っていいんだよ」

 「はい。大丈夫です。僕、まだこの世界の少ししか見てないのに消されたら神様に苦情言いに行きたいです」

 「あはは。そうだね。神に会うことがあればお願いしておかないとね」


 甲斐さんは、友達に会う、みたいな気楽さで神様の話をした。

 この世界は創造神の気持ち一つで消滅するかもしれないのに、神様を信仰したりしない。

 不思議だ。

 この世界の人は皆、自分達の力でやれることをやる、それだけなのかもしれない。

 祈っているよりも、自分に出来ることをする。

 それが神様にとって不敬なのか傲慢なのかはわからない。けれど、ただ縋ってくるだけの弱い生命よりは僕には好感が持てた。

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