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僕の異世界(?)見聞録  作者: ナカマヒロ
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宗教と神様

 馬車で揺られる間、マキちゃんは寝ているか食べているかの、どちらかだった。

 窓から見える景色にあれは何?と問いかけても、


 「マキ、キョーミない」

 「マキ、よくわからない」


 のどちらかだった。

 甲斐さん曰く、基本的に自由に生活しているようだ。公爵家の一員であるはずなのに威厳とか気品とは無縁の生活だ。茉莉花さんと同じくらい我侭な振る舞いなのだけれど、不思議と許せる。外見だろうか。

 美少女よりも猫の方が悪戯をしても許されるのか。

 僕も生まれ変わることがあったら可愛い愛玩動物になって愛されてみたいものだ。

 そんな調子なので僕も質問することはやめて持ってきた料理の教本をめくる。

 基本的には日本の家庭科の教科書と余り変わらない。切る、剥く、炒める、蒸す。調理実習でジャガイモを剥く係と皿洗いが基本だった僕でも概ね理解できた。

 ただ、食材がわからない。野菜類は原型だから写真通りの物を用意すれば問題ないだろう。問題は肉だ。切り身をみても元の動物がよくわからなかった。こればかりは実際に購入するなり狩りをして覚えていくしかない。日本の食物と見た目や名前が似ていても油断は出来ない。イカの例もある。

 菓子類は、ほぼ毎日食べていたので大分覚えたと思う。

 毎回、お菓子の名前を添えておいていってくれるアマリカさんに感謝だ。


 そういえば、アマリカさんへのお土産はどうしようか。


 前回は、観光地にありがちなクッキーの詰め合わせを渡した。

 私は侍女ですから、と受け取ってもらえるまでに暫く押し問答したが何とか受け取ってもらえた。僕なんて単なる居候でしかないのに遠慮しなくても、と思うが彼女は存外真面目な性格のようだ。

 いっそ、侍女の皆さんでどうぞ、と渡したいところだけれど、城内の侍女数を考えたら頭が痛くなりそうなのでやめた。全員に渡す量を持ち帰るのは厳しい。物理的にも金銭的にも。

 あくまでお世話になっているお礼なのだから、僕のお小遣いから出すのが当然だ。

 そのために迷宮ダンジョンで属性結晶を集めているのもある。ここ暫く頑張ったおかげで一介の高校生にしては高額な貯金が出来た。この世界の相場がわからないので油断せずに貯蓄に励むつもりだ。

 お土産といえば、今回、蒼記さんへのお土産はネクタイピンにした。

 前回は女性用のお土産だったので(ラズリィーに渡してもらうように託した)失敗したかもしれない。

 しかし、長い髪をまとめていることも多かったので使えなくはないはずだ。人前につけて出れるかといわれると男性には失礼な者をあげてしまったと思う。だから、今回はネクタイピンだ。


 ボクっ娘だと思ったのになあ。


 自分の見る目のなさにガッカリである。

 しかし、あれは仕方がないのではないか、とも思う。あんな美少女が同性だと思えと言われても困る。今日、再会してもドキドキしてしまいそうだ。


 どうして神様は、僕に同性ばかりと出会わせるんだ!


 自分の読んだことのある異世界モノは、まず最初から女性と出会う、次々と女性と出会ってモテモテになってハーレム展開になるものが多い。それなのに・・・。

 しかし、現実はそんなものだ。

 学校でも、一部の人種を除いて男子は男子と行動する。

 心の平安のためには今の環境がベストだと思う。

 美女に拾われて一緒に生活なんかしたら、お風呂も着替えも緊張の連続だ。

 案外、神様は僕のことを考えてくれているのかもしれない。

 そんなことを考えているとふと疑問が湧き上がってきた。


 「ねえ、マキちゃん。この世界に宗教とか神様ってあるの?」


 マキちゃんは、口の周りについた粉砂糖を払いながら、


 「特定の宗教はない。個人で何かを信仰するのは自由。神様はいる」

 「神様はいるのに宗教はないの?」

 「神様は別に信仰されるべき対象ではない。この世界の創世者であったり、他の世界を支える者だ。基本、こちらに干渉しないし、こちらも気にしない」


 世界を創った神様を気にしない。

 大胆な発想だな、と思うけれど、こちらの世界の人にとってはそういうものなのか。

 神様に縋って生きていかなければならないほど困窮する生活ではないだからだろうか。


 「でも、祭典とかは公式には神様への祈祷みたいなものじゃないの?」

 「あー・・・、それは日本語に翻訳した時にチョードいい言葉がなかったから。別に神様に祈ってない。単純に術者の能力スキル。全世界に季節変えますよーのお知らせのお祭り」


 そういわれるとそうだ。

 単純に能力スキルだ。


 「え、じゃあ神様は何してるの?オヤスミ中?」


 神様の存在感軽すぎるな。



 「気まぐれに出てきたりする。幾柱かいるけど、近年は見かけない」

 「そうなんだ」

 「マキ、詳しくない。キョーミあるなら、灰の領地へ行くといい」

 「灰?確か世界の誕生から存在するという長寿血族が祭られてるとか」


 灰の領地の中央に聳え立つ塔で長い眠りについていると講義で習った。


 「その原始種族もたまに起きてウロウロしてるから、そいつから聞いたらいい」


 なんだろう。

 話だけ聞いているとエルフっぽいから会えるものなら会ってみたいけれど、そんな道端で出会えるような気楽さでいいのだろうか。


 「会えるかなあ?」

 「マキ、キョーミないからよく知らない。ただ、あいつらは起きて活動するのに大量のエネルギー消費するから寝てるほうが多いって甲斐が言ってた」

 「そうなんだ」


 なんだろう。

 原始種族にとって、今のこの世界は生活しにくいのだろうか。


 「神といえば、前の冬の巫女姫は、神と呼ばれる種類のヤツと親しくしていたらしい」

 「え?そうなの?」

 「マキの世界の神様とは違う、よそのヤツらしいけど。フブキも案外知り合いに居たりしてな」

 「ははは。そんなに簡単に神様に会えたら吃驚しちゃうよ」

 「まあ、会えても特に何もないけどな」


 マキちゃんは淡々としている。

 この世界の住人は神様に祈らないのか。

 つまり、異性にモテたかったら自分で努力しろということだ。

 まったくもって正論だ。

 もし好きな人が出来たら神様に祈ってないで飛び込んでいけるような自分にならないといけないな、と思った。モジモジしていたら横からさらわれてしまう。

 恋愛は戦争だ。


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