貿易都市 アルクスア 15
立野さんと別れてホテルに戻るとロビーにラズリィーがいた。
出入り口を見ていたらしく、僕に気が付くとこちらへ向かってきた。
その表情は硬い。
留守にしていた間に何事かあったのだろうか。
「ラズさん、どうしたの?何かあった?」
「どこ、いってたの?」
どことなく責めるような口調だ。
「警備隊の所だよ。立野さんに会いに」
「立野さん?」
「うん。先代さんのことを聞きに」
「それだけ?」
それだけかと聞かれたら、何か話しただろうか?
青海一族のことや、異世界結婚のことか?
僕が考えていると、
「女性のいるお店にいったりしてない?」
一瞬、ラズリィーの言う意味がわからなくて考える。
女性のいるお店?
あ・・・・!
「まさか。いくわけないよ」
「ほんとうに?」
じっとこちらを見つめてくる。
何だろう。この状況。
浮気を疑われている旦那さんみたいな・・・・
「勿論だよ。何なら立野さんに聞いてくれてもいいし」
「・・・ううん。信じる」
ラズリィーは、小さく呟いて僕の手を握った。
「どうしたの?もしかして、それで待ってたの?」
「だって・・・部屋に行ったらいないし・・・フロントの人が出かけたって言うし・・・」
「何か用事だった?」
「ちょっと、お話したかっただけ・・・」
「そっか。ごめんね。心配させちゃったね」
ラズリィーは、ぷぅと頬を膨らませて、
「今度からは黙ってでかけないでね」
「う、うん。ごめんね」
何だろう。
何だろう、この、痴話喧嘩みたいなやりとり。
寝込んだ後だから、甘えん坊さんになっているんだろうか。
「せっかくだから、甘いものでも食べる?」
チラリと時間を確認したら、まだ10時過ぎくらいだった。
ラズリィーが、頷いたのでロビーに併設されている喫茶コーナーでお茶とケーキのセットを2人分買ってロビーで寛ぐことにした。
甘いものを食べて談笑している内にラズリィーのご機嫌も完全回復したようなのでホッとする。
明日は、この周辺で女の子の喜びそうなお店を回ろうと思う。
なんだか、男同士と違って、女性って難しいんだな。




