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僕の異世界(?)見聞録  作者: ナカマヒロ
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異端《ディザスター》

 「教えて欲しいです。どうして、僕は死んだんですか?」


 それは、ずっと気にかけていたことだった。

 模擬戦の日、役所の人は、『両親が帰宅した時にはすでに』と言っていた。

 あの日、僕は部屋にいた。一人で。

 普段と何も変わらないはずだった。

 もし、もしも、強盗の類が家に侵入してきて僕を殺したのであれば、両親の心痛は計り知れないものだったろう。ただでさえ、特異体質持ちで近所の目も厳しかった部分もある。その後の生活は大変なことになるはずだ。

 そんな結果になっていたら、と怖くてあの日、今現在の両親の事を聞くことが出来なかった。


 でも、いつまでも逃げてはいられないんだ。


 模擬戦、迷宮、今日の祭典と、何かが自分にあることに向き合わなければならない時が来ている思った。僕は、良さんを見つめかえす。彼の表情はいつもよりは硬いけれど、僕を見る瞳は優しい。


 「まあ、わりと早い段階で予測はついていたんだ」


 そこで言葉を切って手元の珈琲を飲んでから、


 「今日の、ラズのことを知って気がつかないかい?」


 と、聞かれた。

 僕は、少し考えてから、


 「一般的な能力スキルに比べて異能ギフトは負担が大きいってことですか?僕が、暑さに弱いのに似てる気がしますね」

 「それだよ。君は、6年程まで普通の能力スキル持ちだった。おそらく、無意識にその程度に抑えていた。本能だろうね。ところが、いつの段階かわからないが、氷の巫女姫と接触したことによって眠っていた部分を刺激された。そして、3年前、氷の巫女姫が亡くなった時に、本来、次世代の巫女姫に受け継がれるべきものが君へ一気に流れ込んだ」


 僕は、タテノさんに見せられた写真の女性を思い浮かべた。

 確かに、どこかで会っているのは間違いないと思うが思い出せない。


 「つまり、普通の人間の肉体では耐えられなかった。ということだよ」


 良さんの言葉は、わりと素直に納得できた。

 今日のラズリィーさんの弱った姿を見ていたからだ。平民とはいえど魔力や能力スキルが当たり前にあるこの世界の住人である彼女ですら、視力を奪われ、神事をすれば倒れるほどの消耗をおこす。普通の地球の人間が耐えられるとは思えなかった。

 だけれど、それとは別の疑問も生じる。


 「でも、僕はここで生きています。補助アイテムがなくても、雪山でなら快適に過ごせていました。地球の冬よりもずっと楽に感じていました」

 「そう、普通ならどんな能力スキル持ちでも、死ねば世界にすべてを返還されて次世代へ引き継がれる。なのに、君は3年程の時間をかけて、より自分に適合した肉体を再構築した。この世界にも、『不死』の能力スキルは確認されているけれど、吹雪君のように、多様な能力スキル混在型は珍しい。普通は、1つだけ突出した能力スキルがあって、それが通常よりも強大であると認定されれば異能ギフトと呼ばれている」


 それは、講義でも軽く教わっていたことだった。

 小さな火を灯したり、少し物を浮かしたりといった地球でいう超能力程度のことであれば、魔力保有量が優れていれば使用することは容易いが、晴れているのに大雨を降らせるとか、欠損した肉体を完全再生するほどの治療魔術、四季姫のような季節を動かすような特殊な能力スキル持ちは、その部分だけが特化されていて、他の魔術は一般並みか、それ以下にしか使えないらしい。


 「吹雪君のように、氷を内包しながら、モンスターを燃え尽きる程の火力を持ち、巫女姫に安定した魔力と肉体強化の授与を行えるのは、あの場では異能ギフトといったけれど、本当は違う」


 良さんは、少し躊躇ってからこう告げた。


 「その力は、異端ディザスターと呼ばれる。この世界を支配できるほどの大きなモノだ」

 「支配って・・・」

 「まだ未覚醒で、制御も出来ない、これが公になれば、君は世界中から命を狙われても不思議ではない。それか、今のうちに傀儡として利用出来る様に取り入ってくる者もいるだろう」


 良さんの真剣な言葉を聞きながらも、僕は違うことを考えていた。



 異世界ぽくないとか、平和過ぎるとか、チート能力ないんだ、とか遊び半分に考えたことあったけど・・・

 本当にチートとかいらないですからぁぁぁぁ!

 しかも、自分で制御できないとか・・・

 やっと、可愛い女子と出会えて、神様に感謝したばかりなのに、この仕打ち・・・


 僕の内心の葛藤とか苦情を、良さんは不安に思ったように感じたのか、


 「俺は、いや、この国の元国王としては、君の能力スキルをあくまで異能ギフトだという前提で進めたい。これは、君自身の安全の為だ。そして、君を政治的に利用することはしないと誓うよ。だから、捜索の補助にシノハラをつけた。もし、トラブルに巻き込まれて何かしらの能力スキルを発動しても、シノハラがいれば誤魔化せるからね」

 「あ、能力スキル無効・・・でしたっけ?」

 「そうそう。あとは、属性結晶なんだけど、あれを売る時は、自分だけで手にいれたと言わないように。何人かとチームで行って代表で売りにきたとするか、属性獣が、進化して属性魔法を使えるようになれば、あのこたちが出したことにすればいい。一人であれほどの結晶を抽出するのは怪しまれるからね」

 「抽出?」


 なんとなくモンスターの体内に元々あるモノが、落ちてきているのだと思っていた。攻撃の当たりが悪いと破損して消えているのかな、と。


 「そうだよ。あれは、モンスターの内包してる魔力を攻撃ついでに抽出・・・吸い出して結晶にしたものだよ。魔力を根こそぎ奪われると、肉体も脆くなるからね。物理攻撃が苦手な魔術師は、そうやって倒すんだよ」

 「へえ・・・・」


 あれ?

 じゃあ、槍を力一杯突いていたのは無駄だったのかな?


 「とりあえず、出来るだけ早く制御可能になれるように頑張りなさい。可能な限り人には知られないように。俺と、シノハラ、甲斐はいい。ラズと蒼記君は・・・いずれ気付かれるだろうから、その場合は、真王の名において緘口令をひかせてもらう」

 「わかりました」


 一度に色々な情報を詰め込んで僕は頷いた。


 難しいことは後で考えよう。

 今は、自分の能力スキルの把握と制御

 冬の巫女姫の捜索

 そこから、ひとつずつやっていくしかないんだ。



 

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