九十九.尻尾を切り捨てよう
(連合軍強いやん。予想外にも程があるで。)
董卓は虎牢関での戦い以降、意気消沈していた。
悩む董卓であったが、こういう時は頼れる腹心に相談するのが良いと考え、腹心の李儒を寝室へと呼びつけた。
「李儒、連合軍の奴らは予想以上に強かった。これからどうすれば良いと思う。」
「ふ~む。ここは尻尾を切り捨て、体制を立て直すのが得策かと思われます。」
「尻尾を切り捨てるだと?尻尾とはなんぞや?」
「尻尾とは洛陽です。洛陽を捨て、長安を新たな都にするのです。」
「なにっ!遷都せよというのか!」
「さようです。先の虎牢関の戦いで呂布すら苦戦を強いられたため、味方の士気はさっぱり上がりません。ここは一つ洛陽を捨て、長安へと兵を引き揚げて体制を整え直し、連合軍に戦いを臨むのがよろしいかと思われます。」
「確かにそうだが・・・洛陽は昔からの首都だぞ。おいそれと遷都するのは如何なものか。」
「董卓様の気持ちも分からなくもないのですが・・・董卓様は洛陽に未練がおありですか?」
「未練は・・・ないなぁ。そう考えると確かにお主の言う通りかもしれんな。」
「でしょう!遷都して気分を変え、心機一転、人生をエンジョイするのです!」
「よ~~し!その案採用!遷都の準備を開始するぞ!!」
「御意!!」
数日後、洛陽へと戻った董卓は百官を集めて、遷都の話を述べたのであった。
「みんなー!!洛陽を捨て、長安へ行きたいかぁー!!?」
「えーーーー!行きたくないですーーーー!!」
右手を振り上げ、高々と遷都の宣言をした董卓であったが、百官からは批難轟々であった。
「董卓様。遷都するのは止めてください。今、遷都しますと商人は売る道を失い、工匠はニートになり、百姓は田畑を捨てなければなりません。そんなことになれば天下の乱は増長するばかり。どうかお止め下さい。」
「ふざけるな!百姓がなんだ!天下の計を成すのに、いちいち百姓のことなど考えていられるか!」
「し、しかし、百姓は国の本です。彼ら無くして国は栄えませんぞ。」
「やかましい!お主らはもうクビだ!クビクビ!!」
董卓は咎めた役人たちをひっ捕らえ、官爵と位を獲り上げた。
その他、董卓に咎めに来た役人たちの首を刎ね、ちょん切り、ピョーンとなっていた。
「ぬはははは!わしに逆らう者は皆ピョーンピョーンピョーンとなるのだ!ピョーンとなりたくなければ、わしに従え!ぬはははは!」
董卓の傍若無人っぷりに、洛陽の市民は泣き叫び、その声は大地にピョーンしたのであった。




