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コミカル三国志(第一部)  作者: ダメ人間
第五章 戦火の群雄
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八十六.空気は読もう

 汜水関に赴いた華雄は早くも武功を上げていた。

 孫堅軍の後陣に控えていた鮑忠ほうちゅうという武将が功を焦り、500の騎兵を率いて汜水関への奇襲を仕掛けたのだが、鮑忠軍は返り討ちにあい、鮑忠は華雄の一振りで命を落とした。


 「幸先よし!次は孫堅の命を頂く!」


 華雄は鮑忠の首を洛陽の董卓へ送り、董卓から褒美を頂いた。



 仲間が討たれたことなど露知らず、孫堅は汜水関への攻撃を開始した。

 特に策は無く、正攻法の城攻めであった。

 しかし、さすがは世間に名を知られているだけのことはある孫堅。

 彼の城攻めは見事で、城門の上で敵軍の動きを見ていた華雄も孫堅の采配に対し、「なかなかやりおる」と孫堅を褒め称えた。


 余裕を見せる華雄であったが、このまま何もせずにいるのはマズイと感じたのか、彼は周囲を見渡してこう言った。


「誰か孫堅の首を討とうと思う者はおらんか?あやつの首を取ってきた者こそ、この戦における武功第一であるぞ。」


「華雄将軍!俺が行きます!やって見せます!」


 華雄の挑発的な発言に副将である胡軫こしんが名乗りを上げた。


「胡軫か・・・よし!やって見せよ!」


「おう!」


 胡軫は兵5千を引き連れ、城門より孫堅軍へと突撃していった。


 双方入り乱れる激戦の最中さなか、胡軫は孫堅を発見。

 胡軫は孫堅に対し、名乗りを上げて戦いを挑んだ。


「我が名は胡軫!孫堅!いざ尋常に勝負!!」


「むっ!よかろう!いざ参る!!」


「「うおぉぉぉぉぉ!!」」


 胡軫と孫堅の両者は馬の腹を蹴り、正面から真っ向勝負をしようとした。

 しかしその時、胡軫に向かい一本の槍が投げられた。

 槍を投げた人物は孫堅の家臣である『程普ていふ』であった。

 程普は空気を読まずに、彼らの一騎打ちに対して文字通りに横槍を入れたのだ。

 ヒュー!と風を切りながら飛んだ槍は、胡軫の喉にグサリと突き刺さった。


「え、えぇ~~。そんなバナナ。」


 胡軫は孫堅と一合も打ち合わせることなく、馬上より落ちて死亡した。


 呆気にとられている孫堅をよそに、空気を読まなかった程普は手を振って喜び、孫堅に自分の功を報告した。


「やったーーー!やりましたよ将軍!敵将討ち取りました!!」


「お、おう。よ、よくやったな。・・・褒めてつかわす。」


「ありがたき幸せ!将軍!雑魚は私がお相手しますのでご安心を!!」


「・・・頼む。・・・はぁ。」


 孫堅はスッキリしない気持ちで、胡軫を失って崩れた敵軍の掃討を開始したのであった。

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