六十九.愚痴をこぼすだけではダメ
董卓は残虐の限りを尽くしていた。
彼に逆らう者はいないのか?このまま天下は董卓のモノになってしまうのか?
いや、そうではない。このまま物語が終了してしまってはタイトル詐欺である。
この事態を良しとしない英雄たちがいた。
彼らは密会を開き、打倒董卓に向けて話をしていた。しかし・・・
「いや~どうしましょうか?どうしましょう?全く困ってしまいますな。」
「ええ、ああ、そうね。そうですね。どうしましょうか?どうしましょう?」
打倒董卓の名目で集まった諸大臣たちは酒を飲んで愚痴るだけで、一向に話が進まずにいた。
「あ~あ、これで漢王朝400年の歴史も終わりか・・・わしも時期の悪いときに生まれてしまったものよ。わしは運が悪かったな。」
密会を開いた主催者であるはずの王允も完全に諦めムードに入っており、ため息混じりに愚痴をこぼすだけで事態は何も動きそうになかった。
しかし、愚痴るだけの密会の会場に突如大きな笑い声が響いた。
「うわっははははは!あははははは!ひーひひひひひ!」
会場の末席から聞こえ始めた笑い声に諸大臣たちの目が注がれる。
「こんな大事の席で大笑いするとは不届き千万であるぞ。笑う者は誰であるか?」
「いや~すみませんな。あまりにも皆が情けないので笑ってしまいました。申し訳ありません。」
王允が無礼をとがめた先にいた人物。
それは曹操であった。
「何だ。誰かと思えば曹操ではないか・・・お主、失礼であろうが。」
「いやはや、これは失礼しました。先ほどの謝罪に加えて2度謝りましたのでお許しを。・・・それはそうと皆の者。情けないでございますぞ。天下に名だたる諸大臣たちが折角集まったというのに、解決策も出さずに愚痴をこぼすだけとは・・・プッ!あははははは!」
曹操は謝罪と同時にまたもや笑い出してしまった。
先ほどはわりと静かな声で無礼をとがめた王允であったが、今度は強い口調で曹操をとがめた。
「・・・曹操よ。お主は悔しくないのか?お主の家系も漢王朝からの恩を受けて来たのであろう。その漢王朝が滅びようとしているのだぞ。悲しくないのか?」
「もちろん悲しいに決まっております。しかし、逆に皆にお尋ねしたい。皆様方はここで愚痴っていて時勢が変わるとお思いですかな?」
「いや・・・それは・・・思っておらぬ。」
曹操の堂々とした発言に王允をはじめ諸大臣たちは皆黙ってしまった。
黙ってしまった諸大臣たちを尻目に曹操は話を進める。
「あなた方は臆病者だ。臆病者のあなた方と話を進めても事態は解決しません。そこでこの事態、不肖の身ながら私めに一任させて頂けませんかな?」
「お主に任せるだと?・・・一体何をするつもりだ?」
王允の問いに対し、曹操は自信たっぷり、笑みを浮かべてこう答えた。
「な~に、簡単な事ですよ。董卓を暗殺するつもりです。」




