六十八.暴君の宴
李儒から廃帝と何后の抹殺の報を聞いた董卓は酒池肉林を楽しんだ。
毎夜毎夜と美女を侍らせ、高級酒を飲み干し、気に食わぬ者は斬首にした。
「ハーハハハ!ヒーヒヒヒ!フーフフフ!ヘーヘヘヘ!ホーホホホ!」
董卓は高笑いをしながら日々の生活を謳歌した。
ある日、董卓は馬車に美女を大勢乗せ、自身は馬の手綱を握り、御者の真似事をして洛陽近隣の村へと馬車を走らせた。
董卓が訪れた村は、その日は祭日であり、村人たちは仕事をせずに祭りを楽しんでいた。
しかし、それが董卓の逆鱗に触れた。
「なんたることだ!こんな天気の良い日に田を耕すわけでもなく仕事をサボり、服を着飾って村中を歩き回るとは何たる不届き者だ!天下の百姓の見せしめとしてひっ捕らえろ!!」
董卓は訳の分からん正気を疑う号令を発した。
董卓の護衛たちは彼の号令通りに村人たちを捕まえようと村人たちを追いかけまわした。
村人たちは必死に逃げ回ったが、そのうちに若者が1人逃げそびれ、董卓の護衛に捕まってしまった。
「よし!捕らえたな!では見せしめとして牛裂きにしろ!!」
護衛は捕らえた若者の両手両足を縄で縛り、縄の先端を2頭の牛に括りつけた。
そして牛を鞭で叩き、2頭を左右へと走らせた。
ブチブチッ!っという嫌な音と共に若者は手足を引き裂かれ、大地を血に染めた。
「な、なんてひどいことを・・・。」
その様子を見た村人たちは若者の死を嘆き悲しんだが、誰も董卓に文句を言うことを出来なかった。
「いや~楽しかった。楽しかった。しょーもない祭りよりもよっぽど楽しかったぞ。」
董卓は大笑いをして馬車を走らせ、洛陽へと帰還したのであった。




