表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカル三国志(第一部)  作者: ダメ人間
第四章 暴君の宴
67/421

六十七.死に方は選びたい

本話は少し長い上に気持ち悪いのでご注意ください。

「・・・もう歌わないんで勘弁してもらえませんかね?」


「駄目です。」


 永安宮の最上階にて、何后は目に涙を浮かべて腕の中で震える廃帝を抱きしめ、李儒に許しを乞うていた。

 そんな何后の懇願を李儒は冷徹かつ簡潔に断る。


「・・・そこをどうにか堪忍して下さいませんかね?」


「駄目です。」


「・・・お願いですから」


「駄目です。」


「・・・どう」


「駄目です。」


「・・・」


「駄目です。」


 李儒の有無を言わさぬ冷徹かつ簡潔な拒否の姿勢に何后と廃帝は大泣きした。

 李儒はそんな2人を見下しながら、テーブルの上に一本の酒と杯を2つ並べた。


「廃帝に何后様。大変に泣かれましたので喉が渇きましたでしょう?ささ、一杯どうぞ。これは天にも昇る美酒ですぞ。」


 李儒は見下す表情から一変し、笑顔で何后と廃帝に酒を進めた。

 それを聞いた何后と廃帝は泣くのを止め、顔を真っ青にして震える声で李儒に問いかけた。


「そ、それは毒酒であろう。それを余に飲ませようというのか?」


「ど、毒を飲むと胃が焼けただれ、其処ら中に血が混じった汚物を吐き出して絶命すると聞きます。ど、どうかそれだけはご勘弁を。」


 (自分は王美人に毒を飲ませたくせに。)と李儒は何后の命乞いに軽蔑したが、気を取り直して別の方法を提案した。


「なるほど。美酒を飲むのは嫌と申すか。・・・では、コレではどうですかな?」


 李儒はテーブルの上の酒類を隅にどかすと、今度は短剣を2つテーブルの上に置いた。

 それを見た何后と廃帝は青い顔をさらに真っ青にして震える声で李儒に問いかけた。


「そ、その果物ナイフよりも鋭き刃は・・・。よ、余に死ねと申すか?」


「た、短剣で体を突くと、傷口から血があふれ出し、この世のモノとは思えぬような痛みを感じながら召天すると聞いております。ど、どうかそれだけはご堪忍を。」


「なるほど。短剣で体を突くのは嫌と申すか。・・・では、コレではどうですかな?」


 李儒はテーブルの上の短剣を隅にどかすと、今度は縄を2つテーブルの上に置いた。

 それを見た何后と廃帝は、青い顔をさらに真っ青にした青い顔をグリグリと青の絵の具で塗りつぶしたかのような青い顔にして震える声で李儒に問いかけた。


「そ、その丈夫でしっかりとした縄は・・・。よ、余に首を吊れと申すか?」


「く、首を吊ると、首の骨がへし折れ、自分の足元を糞尿で汚して情けなくご臨終すると聞いております。ど、どうかそれだけはお許しを。」


「なるほど。縄で首を吊るすは嫌と申すか。・・・では、コレではどうですかな?」


 李儒はテーブルの上の縄を隅にどかすと、今度は頭がすっぽり入る水入りバケツを2つテーブルの上に置いた。

 それを見た何后と廃帝は、青い顔をさらに真っ青にした青い顔をグリグリと青の絵の具で塗りつぶしたかのような青い顔を青の中の青よりも青くしたような青い顔にして震える声で李儒に問いかけた。


「そ、その透き通る水が入ったバケツは・・・。よ、余に溺れ死ねと申すか?」


「お、溺れると、胸の部分が強く引っ張られたような感覚になり、地獄のような苦しみを味わいお陀仏すると聞いております。ど、どうかそれだけは止めて下さい。」


「なるほど。水で溺れるのは嫌と申すか。・・・では、コレではどうですかな?」


 李儒はテーブルの上の水入りバケツを隅にどかすと、今度は金属の棒を2つテーブルの上に置いた。

 それを見た何后と廃帝は、青い顔をさらに真っ青にした青い顔をグリグリと青の絵の具で塗りつぶしたかのような青い顔を青の中の青よりも青くしたような青い顔を「えっ!?これ青なの?これ本当に青なの?黒じゃないの?・・・マジで青なの!うっそ~信じられない!!」というぐらいの青い顔にして震える声で李儒に問いかけた。


「そ、その太くて長くて怪しく黒光る逞しい金属の棒は・・・。よ、余に撲殺されよと申すか?」


「ぼ、撲殺されると、叩かれた部分は原型を留めぬぐらいに真っ赤に腫れ上がり、まるで異世界の怪物のような醜い姿となって朽ち果てると聞いております。ど、どうかそれだけはご容赦願います。」


「なるほど。金属の棒で撲殺は嫌と申すか。・・・では、コレではどうですかな?」


 李儒はテーブルの上の金属の棒を隅にどかすと、今度は火打石と油をテーブルの上に置いた。

 それを見た何后と廃帝は、青い顔をさらに真っ青にした青い顔をグリグリと青の絵の具で塗りつぶしたかのような青い顔を青の中の青よりも青くしたような青い顔を「えっ!?これ青なの?これ本当に青なの?黒じゃないの?・・・マジで青なの!うっそ~信じられない!!」というぐらいにした青い顔を『THE・青!!』のような青い顔にして震える声で李儒に問いかけた。


「そ、そのヌルヌルとした夜のねやで使われてそうな油と火打石は・・・。よ、余に火あぶりにあえと申すか?」


「ひ、火あぶりにあうと、肉だけでなく骨まで焼かれ、焼かれた部分から異臭を放ち、ニートの部屋よりも酷い異臭を放って没すると聞いております。ど、どうかそれだけはお慈悲を。」


「なるほど。火あぶりは嫌と申すか。・・・では、もうコレしかありませんな?」


「「ああんっ!助けてちょうだいな!!」」


 李儒は何后と廃帝の首根っこを掴むと窓際に行き、窓の外へと2人を放り投げた。

 何后と廃帝は永安宮の最上階から地面に落下し、2人は死亡した。

 死に方を悩んだ2人の最期は投身であった。

 投身による何后と廃帝の死に顔は青い顔の怯える顔ではなく、真っ赤に染まった恐怖の顔であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ