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コミカル三国志(第一部)  作者: ダメ人間
第四章 暴君の宴
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六十五.波乱の人生の幕開け

 李粛の悪魔の囁きを聞いた呂布は丁原の幕舎を訪れていた。


「おお呂布か。こんな時間にどうかしたのか?」


 呂布は俯き、丁原の顔を見ずに黙っていた。

 彼は呼吸を整え、これから自分が行う行動を肯定するのに心血を注いでいた。

 一方、丁原は義理の息子である呂布を全く警戒せず、武器を持たずに呂布に近づいた。

 そして、丁原が呂布の目の前にまで近づいた時、呂布は顔を上げて剣を抜き、丁原の首に向かい剣を一振りした。


「あっ!」という言葉も出すことなく丁原の頭と胴体は別れた。


 別れの挨拶は無し。

 懺悔の言葉は無し。

 動機の説明は無し。


 丁原は何一つ分からずに義理の息子の呂布に殺されたのであった。


 呂布は迷いたくなかった。

 迷いは悩みに連結し、悩みは混乱へと繋がり、混乱は破滅へと導くからだ。


 呂布は迷うことなく、丁原をこの世から葬り去ったのであった。



 床は血に塗れ、首の斬り口からは赤々と鮮血が流れていた。

 呂布は転がり落ちている丁原の頭を一目見て軽く頭を下げた。

 そして、丁原の幕舎を出ると、軍の中央にたち大声でこう叫んだ。


「よく聞け皆の者!丁原は小者故、俺が斬った!この判断に異を唱える者はこの場から立ち去れ!この判断を良しとする者は俺に従え!!」


 この呂布の発言を聞いて丁原軍は一時混乱したが、ほどなくして混乱は収まり、兵の半分はこの場を去り、残りの半分は呂布に従った。

 この様子を見た李粛は手を叩いて呂布の行動を褒め称えていた。


「見事なり呂布将軍!コレから先、真の英雄のためにその腕を振るうがよい!(バンザーイ!大成功だぜーー!!)」


 そしてすぐに、董卓の陣に帰り、董卓に策が成功したことを告げた。

 董卓は大いに喜び、その大きな体を揺らして李粛を褒め称えた。


 明くる日、董卓は呂布のために宴を開き、自身が出迎えるなど呂布を丁重に陣に迎え入れた。


「呂布よ。わしのもとに来てくれたこと誠感謝する。その感謝の印としてコレをお主に渡そう。」


 董卓はそう言って黄金の鎧や金銀財宝を呂布に渡した。


 黄金の鎧を受け取った呂布は感極まり、董卓に忠誠を誓った。

 主君を殺して美酒を飲み干し、彼は有頂天になった。


 ここから波乱の人生が始まるとも知らずに。

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