表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカル三国志(第一部)  作者: ダメ人間
第三章 流浪の蒼天
44/421

四十四.暗殺は勘弁

 明くる日、何進のもとに勅使がやってきた。


「何進将軍。至急参内さんだいせよ。これは帝の勅令である。」


「はぁ?かしこまりました。」


 何進は首を傾げながら返答した。

 というのも、何進は昨日参内したばかりだったのだ。


(妙だな。・・・もしや十常侍の罠か?)


 何進は勅使が帰るとすぐに、諸大臣を自宅に招きよせた。



 何進が帝からの勅令を疑った理由。

 それは政治を司る十常侍の悪政が以前にも増して酷くなっていたからだ。

 十常侍の悪政のために各地で反乱が起きてしまい、漁陽ぎょよう長沙ちょうさ江夏こうかなどでは大きな反乱が発生していた。

 また、皇甫嵩将軍と朱儁将軍という黄巾賊討伐の英雄と言われた2名も、十常侍に賄賂を渡さなかったために、官職を剥がされてしまっていた。


 『邪魔者はすぐに消す。従わない者には処罰を。』というのが十常侍の基本方針である。


 英雄と言われていた2名が職を追われたことにより、何進は十常侍を恐れた。

 今度は自分の番ではないかと恐怖していた。

 そのため、何進が十常侍の傀儡である帝からの勅令を疑ったのは当然のことである。



 自宅の会議室に諸大臣が集まると、すぐに何進は事の次第を述べた。

 事を述べると、1人の男が手を上げて意見を述べた。


「何進将軍。それは間違いなく罠です。参内すれば間違いなく十常侍に殺されるでしょう。」


 意見を述べた人物は袁紹えんしょう、字は本初ほんしょという人物であった。

 袁紹は豫州よしゅう汝南じょなん汝陽じょよう県(今の河南省商水しょうすい県)出身で、名門の生まれの者であった。

 司隷校尉しれいこういで名門出身の袁紹の言葉を聞いて、何進は自分の考えに間違いがないことを確信した。


「やはりそうか・・・なんと小癪な奴らだ!ゆるせん!奴らを皆殺しにするぞ!諸侯の皆、私に協力するのだ!!」


 何進は十常侍のいる宮殿へと攻め入ろうと諸大臣に提案したが、1人の美青年がそれを止めるよう戒めた。


「何進将軍。私も十常侍を皆殺しにするという意見には賛成ですが、そう事が上手く運びますかな?奴らは宮殿内で強大な権力をもっています。下手に行動しますと自滅しますよ。」


 何進を戒めた人物は曹操であった。

 袁紹とは違い、ただの一将校でしかない曹操の言葉に何進は腹を立てた。


「黙れ小僧!お主は引っ込んでおれ!お主ごときに朝廷の内情がわかるはずがあるまい!!」


 そう言って曹操を野次っていると、会議室に一報が届いた。

 その報はこの世の終わりを告げるほどの衝撃的な内容であった。


「も、申し上げます!帝がご臨終なさいました!!」


「何っ!帝が亡くなられただと!!」


 場は静寂に包まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ