三百九十一.自分で調べよう
曹操の命を受けた劉備は通路という通路に関所を設け、蟻んこ一匹、獣一匹、ダメ人間一匹通さぬ厳重な警戒網を布き、下邳の城を孤立させた。
打つ手という打つ手を完全に塞がれた呂布軍。
しかし彼らには、唯一にして最後の手段ともいえる、とっておきの戦略が残されていた。
それは『持久戦』であった。
―――冬が近づいている。
泗水の流れが凍るほどではなかったが、草木は枯れ始め、連日、厳しい寒さが肌身に沁みてくる。
呂布は武具兵糧を十分に城内に積み入れると、
「雪よ、もっと降ってくれ。曹操軍を埋もらせるぐらいの大雪よ降ってくれ。」
と、天に祈っていた。
『天を味方につける』
言葉の響きとしてはかっこ良いが、これのみに頼るのは非常にかっこ悪い事である。
人智に長けていた陳宮は冷笑して彼を諌めた。
「将軍。そんな天の力に頼らずとも、まだ勝つ方法は残されています。」
「曹操軍は遠路を戦い続け疲れております。また、冬に備えての陣屋も設けておりませぬ。」
「今、敵の準備が整う前に此方から打って出れば、『逸を以て労を待つ』で、必ず大勝出来ましょうぞ。」
※逸を以て労を待つとは
自軍はハイテンションの状態を保ちつつ、敵の疲労を待つこと。
以逸待労ともいう。・・・らしいです。
・・・何でもかんでも言葉の意味を書くと思うなよ!甘ったれるな!自分で調べろ!!
読者だからって調子にのんじゃねぇぞ!オラァ!!
とは言いませんが、この言葉の意味を正確に知りたい方は自分で調べましょう!
と、閑話休題、この陳宮の諌言を聞いた呂布は、首を縦には振らず、横に振った。
「いや、そう上手くは行くまい。我が軍は敗戦に敗戦を重ね、士気低く、勢いは衰えたままだ。―――やはりここは待つのだ。自然の力と士気の回復を待つのだ。」
消極的な呂布の言葉に、陳宮はそれ以上、諌言を述べなかった。
「は・・・さいですか。」
と、昔のような情熱を彼に持ちきれないようで、抗弁もせず、一笑した後、引き下がったのであった。




