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コミカル三国志(第一部)  作者: ダメ人間
第三章 流浪の蒼天
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三十九.嘘はよくない

 督郵との宴会の日から数日経過したが、劉備は督郵に賄賂を渡さなかった。

 そのため督郵は怒り心頭。劉備を陥れるため卑劣な手段に出たのであった。


「あの劉備とかいう若僧め!このわしを馬鹿にしくさってからに!今に見ておれ!誰かある!!」


「はぁここに!!」


 督郵の声に劉備にもてなしのことを説明した従者が督郵の前に現れた。


「劉備の下で働く役人を1人ここに連れてこい!」


「かしこまりーー!!」


 従者はテケテケテケ!っと駆け足で役人を呼びに行った。

 そして、しばらくすると従者が役人を連れてきた。


「お前が劉備の側近か?」


「は、はぁ側近というほどの者ではありませんが、劉備様の下で役人として働いております。」


 連れて来られた役人は、おどおどと怯えた声で答えた。


「よしお前。今からわしが言うことをこの紙に書くのだ。」


「な、何と書けばよろしいのでしょうか?」


「『劉備玄徳は悪人!超悪人!極悪人!マジであり得なーい!百姓から税を絞りとって私腹を肥やす残虐非道な男なの!いますぐなんとかしてちょんまげ!!』といった訴状を書け!」


 督郵のこの発言でドン引いた役人は当然のごとく拒否した。


「そ、そのようなこと書けませんよ。劉備様は村人たちに優しく善良で、劉備様がこの地に来てから悪人たちは」


「黙れ!さっさと書くのだ!裏は取れているのだぞ!書かぬならお主も同罪とみなしすぞ!!」


「ひ、ひぃぃぃーーー!!」


 役人は督郵の高圧的な態度に屈服し、あることないことを書いた嘘の訴状をしたため、督郵に手渡した。


「よしよし!これで劉備を厳罰に処することが出来る!!」


 督郵は大笑いすると、それを従者に渡し、都に送るよう指示を出した。



 それから数日が経過した。

 張飛がいつものごとく酒場で酒を飲んで家に帰る途中、督郵が寝泊まりしている宿の前を通りかかった時に事件が起こった。


 大勢の村人たちが督郵のいる宿の前でガヤガヤと騒いでいた。


「どうした?何かあったのか?」


「あっ!張飛様!大変です!!」


 張飛に気付いた村人が事情を説明した。


「実は先日、督郵様が都に訴状を送ったのです。その内容は劉備様が私たちから金を搾り取っているとのこと。それは何かの間違いだと、訴状を取消して頂きたくここに来た次第です。」


「何だと!あの野郎!もう我慢ならねぇ!!」


 張飛は村人から事情を聞くと、門を睨んで腕まくりをした。

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