三百八十六.悪い想像をしない
いよいよ後が無くなってきた。
呂布軍の残る策としては、小沛へ行き、張遼と高順の二将と合流して体勢を立て直すしかなかった。
「わっせ!わっせ!わっせ!」と呂布軍は懸命に駆けて小沛へと向かったわけであるが、そこへ、彼方より向かい来る一団が見えた。
「あの一団は何者か?」
呂布が目を細めて見るに、それは彼が、良く、良く、もの凄く良く知る一団であった。
「・・・あれは・・・張遼と高順の軍ではないか?」
一体全体どうしたことであろう?
まぎれもない張遼と高順の二名が彼方から自軍に向かい駆けて来るではないか。
しかも、小沛の軍勢を連れている。
(おやおや、これはまさか・・・)
呂布は嫌な予感に襲われた。
(いやいや、まさかそんな・・・)
最悪の事態を想定したが、頭を振って否定する。
(ないない、それはないって・・・)
否定に否定を重ね、良いイメージを想像しまくる。
(・・・よし!大丈夫!朗報のイメージ完了!二人と会おう!!)
良きイメージを固めた呂布は、小沛の軍勢と合流し、両将より話を聞くことにした。
「――――陳登殿より、『呂布将軍が曹操の罠に陥ってピンチだから直ぐに救援に向かえ!』との報せを受けたのでここまで駆けて来たんですけど・・・将軍の顔を見るに・・・もしかして・・・援軍は必要ありませんでしたか?」
両将の話を呂布の側で聞いていた陳宮は、もう怒る勇気も、呆れる元気も無くなったようで、ただただ苦笑いをして、
(ダメだコレ!もうダメだコレ!全然アカンわ!これはもう終わったかも・・・(ノд`))
と、額に手を当て俯いてしまったのであった。




