三十六.別れは切ない
「劉備玄徳よ!このたびの戦の功により中山府(河北省)の安喜県の警察署長に任命する!」
「えっ?あの・・・急にそんなことを言われても困り」
「以上!解散!」
そう言って帝の使いは劉備玄徳に任命書を渡すとさっさと都に帰って行った。
「・・・どうなさいますか?」
あっけにとられている劉備に関羽が話かけた。
「どうするもこうするも安喜県に行くしかあるまい。」
「そうなりますと彼らは・・・」
片田舎の警察署長の身分では義勇兵たちを連れて行くことが出来ない。
劉備と関羽、張飛の3人は別れの挨拶をすべく、義勇兵たちの方へと向いた。
義勇兵たちは彼らの話を聞いていたのか、命じられることなく整列を始めた。
(察してくれたのか・・・感謝する。)
劉備は察しの良い戦友たちの姿を見て泣きそうになった。
しかし、泣くことは許されない。
大将たる者、最後まで威風堂々であるべきだからだ。
「皆の者!話は聞いていたかもしれんが、私は片田舎の警察署長に任命された!よってこれからその地に向かうことになる!しかし、お前たちを一緒に連れて行くことは出来ない!今まで私と共に戦ってくれたこと、本当に感謝する!」
劉備は戦友たちに頭を下げた。
そんな劉備に1人の男が義勇兵たちを代表して礼を言う。
「劉備の旦那!あっしらの方こそお世話になりました!旦那の様な方と戦えたこと、一生の誇りにさせて頂きやす!」
代表して礼を述べた人物は正規の軍の話を蹴って、劉備軍に参加した人物であった。
一緒に付き従った仲間の数人は戦場で散ったが、彼は無事に生き残っていた。
劉備は彼と固い握手をして兵たちと別れを告げた。
「みんなー達者でなー!!」
「劉備の旦那たちもお気をつけてくだせぇーー!!」
こうして劉備軍の面々は自分の故郷へ帰って行った。
別れを告げた劉備は自分の頬を両手でパチンッ!と叩いて気合を入れ直した。
「よし!では新たな地『安喜県』へと向かうぞ!付いてきてくれよ!関羽!張飛!」
「「おう!」」
こうして3人は新たな地である安喜県へと馬を走らせた。
この先どんな運命が彼らを待ち構えているのか!
劉備たちの運命やいかに!
第二章 完




