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三百五十一.明るく年を迎えたい
苦い、負の勝利を収めた曹操はもやもやした気持ちで許都での日々を過ごしていた。が、そんな折、何の前触れもなく、唐突に朗報が入った。
段煨と伍習という二名が、私兵を持って、長安の李傕と郭汜を討ち殺したとのこと。
李傕と郭汜といえば、長安での大乱以来の朝敵である。
そんな敵があっけなく死んだという報は、許昌の都を大いに賑わせた。
「「ウッヒャッホーーーイ!!」」
沈んでいた空気がはじけた。
爆発した。
吹き飛んだ。
踊り踊って酒を飲み、ヘベレケ万歳、ホーホケッキョ!!
「うーれしー!」と民は喜び、兵は騒ぎ、祝賀の色に塗りつぶされた都の空気に、暗く淀んでいた曹操の心も幾何か晴れた。
「凶事の後に吉事あり・・・か・・・。」
秋も終わり、新たな年を迎えようとした時節に訪れた吉報。
曹操は、微かな笑みと共に新年を明けることが出来たのであった。




