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コミカル三国志(第一部)  作者: ダメ人間
第十四章 背徳の臣下
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三百二十八.時には流れに身を任せよう

 罪が不問にされた陳親子であったが、二人はその代わりとして、


『敵を反乱させる手段を講じるべし!』


 という任務を背負わされることとなった。


 そして、陳家への帰宅途中にて・・・


「――――父上、危ない所でしたな。」


「うむ。もう少しで首を刎ねられる所であった。・・・呂布の奴が単純で助かったわい。ハハハハハ。」


 陳登の不安げな言葉とは裏腹に、陳珪はケラケラと笑っている。


「それにしても父上。父上に何か妙案があるとは知りませんでした。」


「妙案?そんなものは無いぞ。微塵も無い。」


「えっ!? で、では、これからどうするのです?」


「知らん。明日は明日の風が吹く。わしはその風に身を任せるのみじゃ。ハハハハハ。」


 陳大夫は屋敷に戻ると考えるのを止め、また、いつものように年老いた病人に返ってしまったのであった。



 一方、袁術の方では大きな動きが起こっていた。

 ついに袁術が孫策より預かっていた玉璽をとりあげ、皇帝を名乗ったのである。


「四百年続いた漢王朝の歴史はもはや潰えた!これから先は予がまつりごとを執り行う!汝ら諸々の臣たちよ!朕を助け、朕に忠良なれ!朕朕!」


 慢心した暴王を止められる者は身内にはいなかった。


 反論を述べれば断罪。

 異論を唱えれば断頭。

 正論を吐けば断首。


 彼に逆らう者たちは、次々に首と胴体が離れて行き、葬儀屋が儲かって儲かって仕方ないという状況下になっていた。


 さらに袁術は、臣下を黙らすために、督軍、親衛軍の二軍団を率いて、自ら徐州攻略に乗り出した。


「退けば殺す!進まねば殺す!後死生進!者ども!突き進め!!」


 督軍、親衛軍の二軍団が後ろに控えると、前衛二十万の兵たちは、


「いよいよ合戦は本腰か!!」


 と、気を引き締めたのであった。

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