二百五十五.どうしようもないこともある
徐州に急使が飛んだ。
劉備は城を出て勅使を迎え入れ、詔を拝した。
「なんと!? 南陽の袁術を討てと申されるのか!!」
「左様でござんす。これは密命ではござらんす。勅命でござんす。」
「勅命・・・だと・・・。」
「ござんす。」
劉備は断れなかった。
これもまた曹操の策略であると、すぐに感づいた彼であったが断れなかった。
前回のような密書ではなく今度は勅命。
『義』を重んじる劉備は勅令に従うしかなかった。
※「前回も勅令だったろ?」と思った読者の皆様・・・正解です。
構成をミスりました。元ネタ丸パクリなのにミスりました。
書き直そうかと思いましたが、「失敗もまた一興」と思い、書き直さずこのまま進めることにしました。
ですので、前回は『帝を介した曹操の密書』、今回は『帝直々の勅令』ということにさせて下さい。
申し訳ございませんが、ご了承ください。
「嘘だ!罠だ!ほら吹きだ!これは曹操の策略ですぞ!!トラップに引っかかってはなりません!!」
事を聞いた家臣の麋竺は劉備を強く諌めた。
もちろん麋竺だけではなく、他の家臣一同、皆が劉備に忠言した。
「騙されてはなりません!ほいほいと策に乗ってはいけませぬ!!」
「うかつにのるのは、マヌケ野郎のすることです!無視です!徹底的に無視すべきです!!」
「アホです!チンです!マヌケです!ですですですです罠罠です!」
全員が反対意見を述べたが、劉備は沈痛な面持ちで、
「私もそう思う。・・・しかし、断ることは出来ない。」
「今回は前回の『なんちゃって勅令』ではなく、正真正銘の『勅令』である。」
「計りごとであろうと、勅命である以上、従うしかない。・・・南陽へ進軍しよう。」
と、従う姿勢を示した。
これ以上の反論は出来ない。
敬愛する主君が決めたこと。
そして、その表情を見て反論できるものなどいないだろう。
弱点か、美点か。
曹操に見抜かれていた通り、劉備は『勅』の一文字に、身動きがつかなくなったのであった。




