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コミカル三国志(第一部)  作者: ダメ人間
第十章 徐州の謀略戦
254/421

二百五十四.駆虎呑狼の計

 荀彧の考えた策『二虎競食の計』を上手くかわした劉備。

 しかし、曹操の右腕たる荀彧の考えた策はこれだけではなかった。

 劉備と呂布を争わせるため、荀彧は第二の矢を放つのであった。


「――――『駆虎呑狼の計』にございます!」


 荀彧はへこむことなく、自身たっぷりドヤ顔で第二の策の名を叫んだ。


『人間、つまづくのは恥ずかしい事ではない、立ち上がらない事が恥ずかしいのだ。』


 某漫画の警察官のセリフであるが、一度や二度でへこむなど人生においては無駄である。

 人生は失敗の連続であり、「失敗の汚名を如何いかに返上するか?」ということが重要なのだ。

 そして、知者である荀彧はそのことを重々と承知していた。


(それでこそ私の部下にふさわしい!!)


 荀彧の堂々たる姿に、主君である曹操は大満足であった。


 ・・・話が少々それましたが、以下より記載するのが荀彧の策の全貌となります。

 彼の演説をご清聴下さいませ。


「――――まず、袁術の元に使いを出し、こう伝えます。『近頃、劉備は南陽を攻め入らんと帝に願い出ている』と。」


「また、劉備の元にも勅使を出し、『南陽の袁術!朕の言うことを全く聞かない反逆者!早々に兵を向けて奴を殺せ!』と命じます。」


「馬鹿正直な劉備のこと。『天子の命は断れない。』と南陽へ出兵するに違いありません。」


「するとどうでしょう?虎の巣穴は空になり、そこに狼が取り残されます。」


「『留守』という『エサ』を狼が見逃すはずがございません。」


「狼はエサをたいらげペロリンチョ!劉備玄徳、THE・ENDです。」


※荀彧の策略整理

1.袁術の元に使いを出し、劉備が南陽を狙っていると伝える。

2.劉備の元に勅使を出し、袁術を殺せと命じる。

3.正直者の劉備は勅命を断れず、袁術と戦争開始。

4.戦争中は徐州は空っぽ。そこへ狼(=呂布)が喰らいつく。

5.徐州は狼の手中に落ち、劉備は行き場を失い完全終了。

fin


 荀彧の第二の策、『駆虎呑狼の計』を聞いた曹操はまたしても感嘆の声を上げた。


「ううむ。『駆虎呑狼の計』か・・・さすがは荀彧。またしても見事な策である。」


「ありがとうございます。」


「聞くにこの計は外れまい。」


「はい。この計は十中八九までは大丈夫です。・・・なぜなら、劉備の性質の弱点を突いておりますゆえ。」


「うむ。・・・前策のような密命ではなく、天子からの勅命と言われると身動きのつかないのが劉備だ。・・・よし!その意見、『可』!荀彧よ!早速準備に取り掛かるぞ!!」


「御意!!」


 こうして劉備と呂布殲滅のための第二の策、『駆虎呑狼の計』を実行するため、曹操と荀彧は策の綿密な打ち合わせを行うのであった。

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