二百五十二.目先のことにとらわれない
不賛成・異存・不同意・不許可・不承・不承知・非難・不承認・不服・難色・不満足。
張飛の頭の中ではネガティブな言葉が渦巻いていた。
呂布を劉備が丁重に見送ったからなおさらだ。
「お~お~ご丁寧にも程がありますな~!」
はらわたが煮えくり返っている彼は、敬愛する兄に対しても嫌味を言うほど熱くなっていた。
「・・・張飛。まだ怒っているのか?」
「そりゃそうでしょうよ!あんな奴にペコペコしてるなんてどうかしている!呆れて言葉もありませんよ!」
「・・・ならば聞こう。我々が呂布を殺して何の得がある?」
「後の憂いが無くなる!それ以上の得がありますか!!」
怒りに吠える虎髭男に劉備が正解を述べる。
「張飛よ。それは目先の考えだ。曹操が望んでいるのは、私と呂布が血みどろの争いをすること。『両雄並び立たず』という言葉がある。そんなこともわからないのか?ε=('A` )ハァ」
「あっ!?」
ようやく張飛は気付いた。これが曹操の策略だということに。
そして、同時に自分の愚かさを恥じた。
言い返すことの出来ない張飛はひとまず置いといて、関羽は劉備に忠言した。
「使者には遠まわしに断って帰させたほうがよろしいかと。」
「うむ。元よりそのつもりであった。上手くごまかすとしよう。」




