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コミカル三国志(第一部)  作者: ダメ人間
第十章 徐州の謀略戦
248/421

二百四十八.二虎競食の計

「まず、私は許褚殿とは違い、不戦論者です。」


「なぜなら、許昌に遷都して以来、宮門整備等の建築、また兵備施設の増強など、都造りに何かとお金がかかっているからです。」


「そのため、お金のかかる武力による戦ではなく、外交的な戦略により彼らを自滅に導くのが上策かと思われます。」


「そして、その策なのですが・・・これより、私が考えた『二虎競食にこきょうしょくの計』という策略を述べさせて頂きます。」


1.例えば、二匹の腹を空かせた虎がいるとします。

2.そこにエサを投げ込みます。

3.エサを見た二匹の虎は、たちまち本性を現して咬み合います。

4.すると、必ず一頭が倒れ、残ったもう一頭は傷だらけになります。

5.傷を負った虎を討つのは超簡単。皮を剥ぎ取り、後はポイッ!です。

fin


「ここで、この策のきもとなる『エサ』ですが、今、劉備は徐州の太守の座に坐っておりますが、前太守の陶謙とうけんより譲られただけで、帝から正式に任命されたわけではございません。」


「そこで、それを『エサ』として、劉備に対して、『徐州の太守として認める代わりに呂布を殺せ!』と密命するのです。」


「劉備が成功すれば呂布が死に、劉備が失敗すれば呂布が彼を殺してくれます。」


「そして生き残った方はズタボロになり、虎の敷物のような最期を迎える他ありませぬ。」


「・・・以上が私の考えと提案する策略となりますが・・・如何でしょうか?」


 荀彧の考えを聞いた家臣一同は、皆、特に反論なく納得の表情を浮かべていた。


「ううむ。『二虎競食の計』か・・・。荀彧よ。見事な策である。」


「ありがとうございます。」


「うむ。・・・私はその策を『可』とするが・・・皆は異論ないか?その他、質問でも何でもよいぞ?」


「「特になかで~す!!」」


「よし!では荀彧よ!早速準備に取り掛かるぞ!!」


「御意!!」


 家臣全員からの承諾を得た『二虎競食の計』を実行するため、曹操と荀彧は策の綿密な打ち合わせを行うのであった。

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