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コミカル三国志(第一部)  作者: ダメ人間
第九章 奸雄の転戦
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二百三十四.曹操の台頭

 その後、2人が談笑を続けていると、曹仁が緊張した面持ちで城楼の上へと登って来た。


「殿っ!殿殿殿殿殿殿殿殿殿殿殿殿っ!大変です!!」


「??? どうした?そんなに慌てて?全裸の男が城内にでも現れたか?」


「変態ではありません!大変です!ただ今、県城けんじょう(=県の役所防衛のための城)から早馬が来ました!洛陽から天子の勅使が下向げこうされるそうです!!」


「勅使がここへ?・・・そうか、ついに来たか。」


 曹仁からの報を聞いた曹操は、一人、納得の表情を浮かべていた。



 献帝が長安を脱出し、洛陽へと還幸かんこう(=皇帝が出先から帰ること)されたことは、曹操も知る所であった。

 そして、その報せを聞いた瞬間、曹操は自分の思い描く未来が鮮明に脳裏に浮かんだ。


(ふ~む、洛陽への還幸か・・・帝はどうやら洛陽に深い思い入れがあるようだな。となれば、以降、帝は洛陽から動くことはないだろう。)


(となると、帝たちは洛陽を住める都にするために復興作業に取り掛かることになるわけだ。)


(となると、となると、人手が足りない。物資が足りない。金が足りない。)


(となると、となると、となると、誰かに頼るしかないわけだ。・・・が、董卓を筆頭に、悪徳将軍たちに長い間自分の権力を利用されていたせいで、恐らく帝は人間不信に陥っているに違いない。そんじゃそこらの人間に頼るはずが無い。)


(となると、となると、となると、となると、名声が高い人間を頼ることになるわけだが・・・洛陽近辺でそれに当てはまる人物・・・それは・・・・・・ふふふ。大人しく待つことにするとしよう。)


 自分の思い描く未来の第一歩が近づいたと見るや、曹操はそれ以降、特に行動を起こすことなく、その日が来るのをただひたすら待ち続けた。

 そして今に至る。



「??? 殿は帝が殿に頼ることを、すでにお分かりになっていたのですか?」


「愚問であるな。『来るべきモノが来た。』それだけだ。」


「は、はぁ・・・?」


「ふふふ。すまんな。中二病が過ぎたな。とりあえず私は帝が自分を頼ることになることを予見していたのだ。・・・宴席に皆はおるな?」


「はい!おりまぁす!!」


「よし!では清水で口をすすぎ、手をきよめ、顔を洗って大評議の閣へ集まれと伝えよ!私もすぐに向かう!!」


「御御意!!」


 曹仁はすぐに城楼を駆け降りた。

 そして曹操もその後を追い、冷水にて身を浄めると衣服を整え、家臣一同の待つ大評議の閣へと歩を進めた。



 大評議の閣ではすでに群臣たちが集まっていた。

 彼らは宴席の時とは違い、皆、姿勢を正し、表情は真剣そのものであった。

 そして、大将曹操が閣に姿を現すと、群臣たちは一斉に拱手きょうしゅして彼を迎えた。

 彼らの前に立った曹操は堂々たる演説を始めた。


「聴けい!皆の者!!」


「天子を助ける者こそ英雄である!また、英雄であるための条件なのだ!」


「天下の人心をつかむためにも、以降はそのつもりで行動する!」


「異論のある者はおるか!!」


 この問いに対する群臣たちの答えは決まっている。


「「はっ!異論ありませぬ!!」」


 これが曹操の覇道への第一歩であった。

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