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コミカル三国志(第一部)  作者: ダメ人間
第九章 奸雄の転戦
208/421

二百八.危険を回避しよう

 大勢の人間を目的地に飛行機で移動させる時、一度に全員を搭乗させず、別便を利用して、二手以上に別れて移動させる時がある。

 この理由は無数に考えられる。


・飛行機の遅延

・飛行機の欠航

・飛行機の人数制限

・スケジュールが合わない

etc・・・


 この様に、その場の状況や偶然、予期せぬ出来事などにより、理由は無限になる。

 そんな無限の理由の中で、特に不謹慎な理由がこれである。


・全滅のリスクを避けるため


 飛行機を例に述べさせて頂いたが、これは普段の日常でも起こりうることである。

 半分に別けたことで、半分が助かる。

 けることでけられる最悪の事態。

 非情の采配で助かる生命いのち

 万が一の一が起きた時の想定は必須。

 2016年現在、人間と機械の両方の頭脳を駆使しても排除できない危険性リスク

 ましてや、本作は今より1800年前の物語。

 正確な模擬実験シミュレーションをしてくれる機械などあるはずもない。


 考えるのは人間のみ。


 田氏からの密書を大喜び受け取った曹操も人間である。


(呂布は無才だが、陳宮は油断ならん。)


 曹操はリスクを想定し、軍を三つの部隊に分け、一隊を濮陽城に進行させることにしたのであった。



 夕暮時にて、曹操率いる一隊は城攻めを開始した。


「深入りはするな!城に寄せて敵兵の動きを探るのだ!!」


 曹操の命令に応じ、兵たちは深く攻め入ることをしなかった。


 一進一退の小競り合い。


 そう表現するのが一番であろう。

 城を守る兵の数は少なく、士気もないように感じられる。

 大勢の兵による激しい戦ではなく、少数兵による静かな戦い。


(う~む・・・城兵の数は少なく、飛んでくる矢数も少ない・・・これは・・・。)


 時間が経つにつれ、曹操の顔に笑みが浮かぶ。

 そして日が暮れ、辺りが暗闇に包まれ始めたその時、城壁の上に一つの旗が揚がった。


「むっ!? あれは『義』の旗!田氏からの合図だ!!」


 城壁の上で、『義』と書かれた大旗がゆらりゆらゆらとゆれている。

 その旗は、密書に書かれていた城攻めを促す田氏からの合図であった。

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