二百.伝言はしっかり伝えること
「不覚!」
徐州侵攻が完全に裏目に出てしまった曹操は、唇を噛んでその悔しさを露わにした。
「国を空にしたのは失敗であった。・・・どうしたものか。」
後悔先に立たず。
我ながら不覚であったと後悔する曹操であったが、そこは天下の曹孟徳。
彼はすぐに気持ちを立て直し、鋭い機知を働かせ、進退極まるこの状況を打開する機転を利かせた一手を打った。
「・・・劉備からの使者はまだ斬っておらんだろうな?」
「はっ!斬っておりませぬ!至極元気でピンピンしております!」
「よし!ならばその使者をここに連れて来い!くれぐれも丁重にな!」
「アイアイチャーン!!」
曹操の下知を受けた家臣の一人は、命令通りに劉備の使いを彼の前に連れて来た。
「使者殿よ。手紙の内容は良くわかった。父を失った悲しみにより突発的な行動をとってしまったことを詫びよう。これより我が軍は停戦に応じ撤退する。・・・その旨を、しかと伝えてくれ。」
曹操は掌を返して、停戦勧告を承諾することを使者に告げた。
この答えは意外だったようで、使者は目を丸くして言葉を返した。
「は、はぁ。ではその旨を伝えさせて頂きます。」
「待て!」
「な、なんでしょうか?」
「・・・此度の件は私に非があるとはいえ、やはり陶謙殿にも非がある。その旨もしかと伝えよ。」
「・・・わかりました。」
そして、曹操は使者を丁重に城中へ送り帰し、即時に軍をまとめて兗州へと引き揚げてしまった。
(これで陶謙たちからの追撃は防げた。・・・にしても、呂布め!私がいない兗州に攻め入るとは言語道断!命はないと思え!!)
安堵と共に怒りの気持ちを高ぶらせる曹操。
曹操と呂布の戦いが、今、始まろうとしていた。




