二.読めないものは読めない
劉備は街に到着すると、いつも筵を収めている問屋へと向かった。
長い腕を使って問屋に筵を収めて代金を受け取ると、ぶらぶらと街を散歩することにした。
「まっすぐ家に帰りますよ。」という母との約束を平気で破り劉備が街を散歩していると、街の民達が立て看板に集まっていた。
「何て書いてあるんですか?」
劉備は立て看板に近づいて、街の民の1人に尋ねたが彼はこう答えた。
「いや、それがだな・・・俺は文字が読めなくてな。何て書いてあるかわからねぇんだ。」
「なるほど。ちょっと失礼。」
劉備はそう言って人ごみの中を進み、立て看板の文字を読むことにした。
要約するとこう書いてあった。
『黄巾賊危険。超暴れている。奴らを討伐したい。でも兵隊足りない。なので兵隊募集します。勇気ある人是非来てね!』
劉備は立て看板の周囲に集まっている街の民たちに看板の内容を説明した。
この時代において文字を読めない人は多い。学校などの教育施設が普及してない以上しかたないことである。そこで、文字の読める劉備は街の民たち対して説明をしてあげたのだ。
劉備が説明を終えると街の民たちは皆それぞれ考え込んだ。
「なるほど・・・国のお偉いさん方は兵隊を募集しとるっちゅうわけか。」
「そうですね。黄巾賊たちが各地で暴れ回ってて民たちが皆苦しんでいると聞きます。討伐しようにも数が多すぎて大苦戦中とのことですので、このような看板を立てたんでしょう。」
「うーむ。・・・俺参加してみようかな。」
街の民の1人がそう呟くと周りにいる民たちがそれに同意し始めた。
「そうだな。俺も参加するぜ。このまま奴らを野放しにしてたら、俺たちの街も襲われかれねぇぜ。」
「そうだ・・・そうだよ!俺たちで黄巾賊の奴らをぶっ潰してやるんだ!」
「そうだ!俺も参加するぜ!」
血の気の多かった街の民たちの一部は元気よくスタコラサッサと募集している場所に向かって駆けて行った。
その様子を見ていた劉備はこう思った。
(私も参加したいな。・・・いや無理か。私には母がいる。母を1人にするわけにはいかないな。)
そう思い劉備はその場を離れようとした。
「待ちな!そこの優男さんよぉ!」
その場を離れようとする劉備に対して誰かが大声で声をかけた。
劉備が大声がした方を向くと、そこには筋肉モリモリマッチョマンの虎髭男がいた。