↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカル三国志(第一部)  作者: ダメ人間
第八章 狂狼の愛
167/421

百六十七.自分の気持ちに嘘はつけない

 董卓は呂布を丞相府に呼び寄せると、李儒の進言通りに彼を優しくなだめた。


「昨日は済まなかった。病気のせいでイライラしておったので、ついお前にきつく当たってしまったのだ。・・・わしはお前を信頼しておる。これからも、わしのために力を尽くしてくれ。・・・これはその詫びじゃ。」


 そう言った後、董卓は金銀財宝を手にして、自ら呂布にそれを手渡した。


 この董卓の言動に呂布は大変に驚いた。

 というのも呂布は、「あ~あ、太師に怒られる・・・出仕するの嫌だな~・・・はぁ。」と罰を受ける覚悟で丞相府に来ていたからだ。

 ところがぎっちょん。

 彼は罰せられるどころか董卓から謝罪され、お詫びの印として財宝を渡されたのだ。

 これはびっくり!アリエッティ!ということで呂布は大変に驚いたのであった。


 そして、この董卓の言動は彼の心をより苦しめる形となっていた。


『董卓への恩と貂蝉への愛』


 呂布はこの二つの板挟みとなってしまったのだ。

 とはいえ、それをこの場で口に出すことなど出来るはずもなく、彼は、


「あ、ありがとうございます。今後は行動を慎みますので、昨日のことはお許し下され。」


 と頭を下げ、体裁を整えるしかなかった。


 それから数日後。

 董卓の病はすっかり良くなったが、呂布の心の病は重くなっていた。

 毎日鍛錬を行い、丞相府への出仕も欠かさなくなった彼であったが、彼は無口になっていた。

 以前のような豪胆さは鳴りを潜め、どこか集中力が欠けている一面も見せ始めていた。


 そんな日々が続いたある日のこと。

 いつものように丞相府へと出仕した呂布は、丞相府での仕事を終えた後、董卓の目を盗んで後堂へと忍び込み、愛しの女性を探し回っていた。


(貂蝉!貂蝉!貂蝉!貂蝉!貂蝉!貂蝉!貂~~~蝉~~~!!)


 貂蝉を思う呂布の心は爆発していた。

 この数日間、彼は貂蝉のことを思わない日は一日たりともなかった。

 「今までこれほど人を愛したことが自分にあっただろうか?」と自問自答するほど、彼は貂蝉に恋い焦がれていたのであった。


 屋敷内を探し回っても貂蝉を見つけることが出来なかったので、呂布は庭園へと足を運んだ。

 そして庭園を探索していると、庭園の奥にある蓮(はす)の池で囲まれた鳳儀亭(ほうぎてい)という名の亭に1つの人影があるのが見えた。

 呂布が彼方より目を凝らすと、その人影は彼が探し求めていた人物であった。


「ちょ、貂蝉!!」


 鳳儀亭へと繋がる橋を渡る呂布。

 貂蝉も呂布に気付いた様で、彼女は声を上げ、橋を渡る彼へと近づいた。


「将軍様!!」


 そして2人は橋の上で抱き合った。

 実に3度目の抱擁。

 橋の下の水面では美しい蓮がゆらゆらと揺れており、それは彼らの胸中を表しているかのようであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。