百五十三.相手を夢中にさせること
「な、なんと美しい・・・。」
呂布は帳より姿を現した貂蝉を見て、彼は意図せず呟いた。
そんな呂布に対し、貂蝉は軽く目を向け挨拶をした。
「・・・いらっしゃいませ。」
そして恥じらうように彼から目を逸らし、侍女たちの楽器の演奏に合わせて、貂蝉は舞を披露し始めた。
彼女は曲のリズムに合わせて脚を動かし、床を滑るようにステップを踏んだ。
袖は天女の持つ羽衣の如く妖艶に揺れ動き、男心をかき乱した。
そして、ときより向けられる、澄んだ黒い瞳と微笑にて、呂布は魂を掴まれた。
「・・・」
呂布はその美しさを目の当たりにして声が出なかった。
彼は幾度となく宴会へと誘われ、数多くの女楽の舞を見てきた。
しかし、今日見ている舞はその全てを一笑に付すほどの美しさであった。
やがて曲が終わると、貂蝉は膝を曲げて呂布に向けて一言述べた。
「お粗末さまでした。」
彼女の一言により、呂布はハッ!と我に返った。
「す、素晴らしい!素晴らしかった!!」
呂布は手を鳴らして貂蝉自身と彼女が演じた舞を褒め称えた。
貂蝉は呂布の言葉に恥ずかしそうに俯き、彼の元へとゆっくり近づいた。
「・・・将軍様。一献どうぞ。」
彼女は酒の入った器を掲げ、呂布に小声で話しかけた。
「や。これは・・・どうも。」
呂布は杯を手に持った。
手に持つ杯に貂蝉より酒が注がれる。
注がれる間に呂布は彼女の顔をジッと見つめた。
(う、美しい。なんと美しいのだ。これほどの美女がこの世にいたのか・・・。)
呂布が間近にて貂蝉の顔を見つめていると、彼女は顔を赤らめ、
「・・・将軍様。そんなに見つめられると恥ずかしゅうございます。」
と呟いた。瞬間、彼の心に衝撃が走る。
ズキュウウウン!!
呂布は貂蝉の虜になったのであった。




