百二十六.磐河の戦い その六
乗っている白馬の毛を血で汚しながら、すさまじい働きをする趙雲の活躍により戦況は振り出しに戻った。
「なんと見事な働きだ。・・・趙雲!疑ってごめんちゃい!!」
趙雲を訝しんでいた公孫瓚の家臣たちは手のひら返しをしていた。
彼らは趙雲に続けとばかりに、兵たちの士気を鼓舞して袁紹軍に戦いを挑んでいた。
盛り上がる公孫瓚軍の様子を見た袁紹は苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべた。
かつての家来である趙雲にイケイケムードを台無しにされ、袁紹は家臣の『田豊』に八つ当たりをしていた。
「むむむ!一体誰なのだ、あの武将は!とんでもない強さではないか!あやつのせいで戦況が振りだしに戻ってしまったぞ!!」
「え、袁紹様。落ち着いてください。まだ負けたわけではありませぬ。」
「やかましい!私をなだめる暇があるなら、あやつを討ち取ってこい!行けぇ!!」
「は、はいぃ!!」
八つ当たりを受けた田豊は袁紹の命令通りに、一隊を率いて趙雲隊を攻撃しようとした。
しかしその時、公孫瓚軍に予期せぬ味方が舞い降りた。
山峡の間より飛び出して来た3人の英雄たち。
彼らは名乗りを上げて公孫瓚軍に近づいて行った。
「やあやあ!われこそは平原の劉備玄徳なり!恩ある公孫瓚殿に助太刀に参った!今より我ら3兄弟!公孫瓚殿と共に戦おう!行くぞ!関羽!張飛!!」
「おう!関羽雲長、いざ参る!!」
「おう兄者!死にたい奴からかかってこい!この張飛翼徳が綺麗にあの世に送ってやるぜ!!」
公孫瓚のもとに舞い降りた味方は平原にいる劉備三兄弟であった。
公孫瓚と袁紹の戦いを聞きつけた劉備三兄弟は、平原から馬を走らせ、数日かけて公孫瓚のもとへ馳せ参じたのであった。
彼らの姿を彼方より見た袁紹は、
「げげぇ!あ、あれは劉備三兄弟!なぜ奴らがここに!!」
と仰天して、すぐに全軍に撤退命令を下した。
彼らと戦うことなく撤退する袁紹軍を張飛が必死に追いかける。
「えっ!? あっ!? ちょっと待て!お~~い!逃げるな~~!!まだ一合も討ち合ってないぞ~~!!この卑怯者~~~!!俺たちと戦え~~!!」
「誰が貴様らと戦うか!無視しろ!無視!撤退だ!撤退しろ!!」
「待て待て待て!せめて一合!一合だけでも頼む!!」
「やだやだ、いや~ん!断~る!!」
三英雄と呂布の戦いを間近で見ていた袁紹の兵たちは、彼らの恐ろしさを良く知っており、張飛の挑発を無視して彼らは陣へと退散して行った。
「・・・むなしい。」
張飛の乗っている軍馬の足元には逃げた袁紹軍の刀や槍が散乱しており、彼らが必死に逃げた様子が窺えたのであった。




