百十七.騙す方も騙された方も悪い
兵たちが略奪をしないようにする方法を話し合う会議にて略奪を提案した逢紀。
彼の真意が今、明かされる。
「こちらから一方的に冀州を攻めて、冀州を奪い取る略奪。これは世間体が良くありません。そこで、向こうからお願いされて、仕方なく冀州を奪い取るという略奪をすればいいのです。こうすることで世間体を気にしなくて済みます。・・・要は冀州側から『袁紹様!冀州を略奪して下さい!お願いします!!』と言わせればいいのです。」
「はぁ?んなこと無理だろ?自分の領土を略奪させるアホなど、この世におるわけなかろう?」
「その通りです。そんなアホはこの世にいないでしょう。ですが、そんなアホを作り出す策が私にはあります。袁紹様、ご清聴願います。」
袁紹は逢紀の話を聞いて、呆れた目で彼を見つめたが、そんな袁紹の目を気にすることなく逢紀は策を述べる。
「まず、北平の公孫瓚に使いを出し、『一緒に冀州を攻めて、領土を山分けしよう!!』と、提案するのです。」
「冀州は豊かな土地。この案に公孫瓚は必ず乗って来るでしょう。」
「そうしたら次に、袁紹様は韓馥に使いを出し、『公孫瓚が冀州を狙っている!だから私が力になってやる!力を合わせて公孫瓚を倒そう!!』と、提案するのです。」
「臆病者の韓馥のこと。必ず袁紹様の力を頼るに違いありません。」
「そして、袁紹様は堂々と真正面から冀州に乗り込み、冀州を手中に収めてしまえば良いのです。」
「『一緒に公孫瓚と戦う』という理由を盾に冀州を略奪すれば、世間からの袁紹様への批判は少なくてすみます。」
※逢紀の策の流れ
1.北平の公孫瓚に冀州攻めの共闘を提案する。
2.冀州の韓馥に公孫瓚と戦うための共闘を提案する。
3.臆病者の韓馥が袁紹との共闘を決意する。
4.袁紹は冀州に乗り込み、冀州を手中に収める。
fin
袁紹は逢紀の策を聞いて、彼は感嘆の吐息を洩らした。
「はぁ~なるほど。力ではなく計による略奪か。・・・逢紀よ。考えたな。」
「ありがとうございます。以上が私の策となりますが・・・如何でしょうか?」
「うむ。良い案だと思う。・・・しかし、公孫瓚はどうする?『話が違うぞ!』と言って我々に攻めてくるのではないか?」
「確かにその恐れはあります。しかし、冀州軍を取り入れた袁紹軍に攻めるなど愚の骨頂でしょう。公孫瓚は『騙された!悔ちぃ!!』と嘆くだけで、攻めてこないでしょう。」
「・・・そうだな。攻めてくるはずないか。もし攻めてきたとしても返り討ちにすればいいだけの事か。・・・よし!その策採用!早速、使者を出すとしよう!!」
袁紹は逢紀の策を実行するために、机に座り、筆を片手に書状作成に勤しむのであった。




