百十一.天命には従うこと
程普は孫堅に美人の死体が持っていた印章についての説明をしていた。
「これは~そ~の~ア~レなのね~♪」
「・・・早よ言え。」
「あ、はい。すいませんでした。・・・これは朝廷の『玉璽』です。」
「あ~玉璽か~。どうりでこんなに綺麗なのか~。・・・って、はぁ!? ちょ、朝廷の玉璽だと!!」
「はい、間違いありません。これは漢王朝に代々伝わる宝。そして、これを持つ者は一身つつがなく栄えると伝えられています。皇帝の位につくものにとっては命よりも大事なモノです。」
「そ、それほどのモノか。」
孫堅は程普の話を聞きながら、玉璽をマジマジと眺めた。
そして同時に恐ろしさも感じていた。
(・・・しかし、どうしてこのような宝が俺の手に入ったのだ。)
朝廷の宝を目の前にして怯える孫堅に程普は話を続ける。
「・・・太守。取りましょう。」
「!? な、何をだ?」
「決まっていましょう。天下を取るのです。今回の件は天からの思し召しに違いありません。玉璽は、あなたが皇帝となって国を治めよという天からの授かりものです。」
「し、しかし・・・。」
「太守。これは天命なのです。ご覚悟を。」
「むむぅ、そうだな。・・・天下を取るとしよう。」
程普の話を聞いた孫堅は大きく頷いた。
そして覚悟を決めたその瞳で部下たちを見渡し、こう告げた。
「今の話は秘密よ、秘密!誰にも言っちゃダメだからね!もし誰かにこの事を話したら・・・首がポロッと落ちるからね!!・・・お分かり?」
「お分かり~!!」
「よろしい!では美女の死体を井戸に戻すのだ!!」
「はいはいさ~!!」
孫堅からの忠告を受けた部下たちは、力を合わせて美女を井戸の中へと放り投げた。
「オーエス、オーエス!スーハー、スーハー!!オーイエス、オーイエス!!スーハー、スーハー!!」
部下たちは息を切らしながらも協力プレイで任務を全うし、その場を何事もなかったかのように片づけた。
「問題ないな・・・。よしっ!苦労!では、自陣へ帰還するぞ!・・・おっと、諸侯の連中に気づかれぬように抜き足、差し足、忍び足で帰るぞ!よいなっ!!」
「アイアイサー!!」
こうして孫堅たちは自陣へとこっそり帰還した。
そして明くる日、孫堅は病気と称して、帰国の準備を始めたのであった。




