こんなはずじゃなかった
思えば、私は子供の頃から人より鈍臭い子だった。
勉強もスポーツもいまひとつで真面目だけが取り柄で、
必死に頑張ってようやく「普通」と呼ばれるレベルを維持してきたけれど
中学辺りから勉強に付いていけなくなり、気が付けばその「普通」も
維持できなくなり、ネットやアニメ等のオタク趣味に逃げていった。
クラスの気の強い男女からはよく叱られ、そうでない子達からも
辛く当たられ散々馬鹿にされ、面倒な事を押しつけられたり
ノート要員にされたり、いわゆる「都合のいい子」になっていた。
その立ち位置は高校になっても変わらず、むしろ中学よりも悪化し、
青春の思い出など一つもなく、家と学校だけの往復だけで3年間が終わった。
その後エスカレーター式に大学に進み、恋愛とは縁のない4年間を送り
就活と卒論に四苦八苦し、どうにか就職は決まったものの、職場では
人間関係が上手くいかず、過労とストレスから体調を崩して退職することになった。
元々何のスキルもなく、職場でも大した仕事をしていなかった私は
なかなか再就職が出来ず、また正社員になったらまた同じ目に遭うのでは
ないかと恐ろしくてずっと非正規に甘んじていた。
そうこうしている間に、今の年齢になってしまったのである。
一体どうしてこうなってしまったんだろう。こんなはずじゃなかったのに。
寝る前になると急にネガティブな気持ちになり、一人枕元で涙を流す日々を
送っていた。