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ハカセにお願いする

「この天才の実験に協力するとな?」

「協力とゆーか、改悪されたから直したいだけだよ」

「なんじゃツマラン。仕返しにネクラオタクのデーターをいじっていじりまわしたいからこのワシのお知恵を借りたいと大地に額をこすりつけて懇願するのかと……」

「ストップ。仕返し合戦はキリがないよ。普通にアクセスできればオッケーなんだ」

 すると、ハカセは僕を睨むように顔を近けた。

「駄目じゃよ」

「ならいいよ。RT辞める」

「天才の助言でゲットしたアイテム天使もダイヤモンドランクも取り戻さないと気がすまん。ただし、モニターになっとくれ」

 あ、やっぱそうきた。



 通常、RTは視覚や感覚に影響を与えるから、場面転換に時間を必要とする。慣らす、訳だね。商用じゃないハカセのRTは、先ずそれがない。

「あの箱に入っていたの、RTの支援端末だったんだぁ……」

「そう、先日潰れた隣町のRT店のな。純正品で安全性折り紙付きじゃよ」

「でも、それって」

「STOP。立派な犯罪じゃから洸次は知らんでいいんじゃ」


 触れる感覚ならば九が幾つも並ぶ%のRT、リアルタッチワールドは、性風俗とかの反社会的使用防止のため新製品稼働品廃棄品どれも厳重に管理される決まりになっている。ジャンク品や不良部品でのアクセスは時々事件になっているんだよ。


「その“じゃから”って何語だっていつも……」

 川田先生が時々するらしいRTペットも、ペット業界とトラブっているらしい。自家用RT端末があれば、RTペットはいつでも可愛い子猫子犬と触れ合える。面倒なトイレの始末やご近所に悪臭騒音被害トラブルもない、散歩も餌代も不要だし、毎日色んな品種のペットを選べるしなにより”死なない”。


 大昔、端末でペットを”撫でたフリ”できるアプリがあったけど、操作しているユーザーは、結局棒と端末を摩擦しているのが真実の姿。でも、RTだと少なくとも触る感触のリターンを得られるので、快感は桁違いなんだ。


 そんな理由でペット産業はRTのせいで売上げ落ちてるそうだ。RTって意外と旧社会の産業には敵視されているらしいんだね。

「能書きは置いといて始めるぞい」

 ハカセは、端末機を乱打した。これで僕のデータが直ればいいんだけどね。


(ちゃりん♪)

「仔猫ちゃん?」

 杜の中が案外静かだったから鈴の音がハッキリと聞こえた。先日僕の周りをうろついていたブチの仔猫が、また突然あらわれた。

 仔猫は何歩か遠ざかるように歩んだ後、ゆっくりと僕の方を振り返った。

 微笑んだ、ように見えたんだ。


「座標がズレる可能性があるから、ほっつき周るな」

「うん、ゴメン」

 仔猫は一回鳴き声を上げると、杜の中に疾しって消えた。どうしたのかな?

「……あ、ハカセ。景色が随分変わったよ」

「うむ。こっちの支援サーバーでも画像は写っとるぞい。解像度はかなり悪いが、お前さんのプライバシーには丁度よかろう」

「うん。ところで、どのワールドやモードを選べばいいのかな……」

 ド、カン。


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