(閑話的)、車中にて
「戦場の近くにホームセンターがあったなんて運がいいね」
「儂が洸次の年頃に一度関ヶ原に来ているからの。健在で良かったわい」
「無意味に逃げていたと思ったかい。ちゃんと中継機器は置いて助言はしたし、ホームセンターの存在は知らなかったが、補給はしないとな」
「まぁ、腹ごしらえじゃ」
ペットボトルのお茶とコンビニおにぎりを貪る僕ら。
「主幹、選べる保証はないがどの時間が最適です。今すぐ佐和山に行ってもまだ石田方の敗戦を信用しなかったら終わりだ」
それは、間に合わない可能性も暗示しているんだね。ハカセが落城は十八日だと教えてくれた。
「なら理想は九月十七日。説得の時間も欲しいし十八日はどさくさに紛れられる利点があるが、危険度も高い」
「明後日まで待つの」
「君が平塚の姫と再会したタイミングと関ヶ原到着は時間のズレが多少ある。佐和山に到着したら、一度アクセスした方がいい」
「それが当たりになる可能性は?」
「当たり外れどちらも否定出来ない。だから、バッテリーを貯めている。買い足したやつはビンビンだが、主幹の自宅からのはカラカラ。充電中だ」
「雨は降っても止んでもいないがの」
? ハカセの冗談は訳わからない。橋本氏が軽く息を漏らしただけ。
「まぁいいわい。ほれ、滋賀に入るぞい」
まだ耳の裏に傷が残っていてカサブタになってた。僕が痒くなるから剥がそうとしたら、
「笠井君、素手で傷に触れるのは良くない。女の子は嫌うぞ」
面倒だったけど僕は制服のポケットからハンカチを取り出して耳の後ろを拭いた。ハンカチは薄く血が滲みていた。
(鰯丸……)
僕は関ヶ原に来てからハンカチ使用は鰯丸の怪我を看た時だけ。彼女、大丈夫かな。
そう思うながら僕は耳の裏を触った。カサブタじゃない、なにかザラっとした肌触りがあった。
関が原町は史跡の中の街なので、ホームセンターの件は2011年には実際に確認しています。




