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閑話休題的な

 富士川サービスエリア下り。


 緊急出撃だったから、僕たちは小休止。ハカセは、これだけは譲れないとレストランにまっしぐら。あんなバイタリティあるんだね。


 僕たちも軽食を摂った。口では強気な発言をした巴さんたちは、ちょっと仮眠してから口に物を入れた方がいいと、SAの芝生で雑魚寝(※違反だよ)


「発動機もガソリンタンク欲しかったけどな。それに録画や記録機器も貧弱だ」


 橋本さんは手帳でメモりながら定食を食べている。このSAで運転手交代かな。ハカセはウキウキしながら三杯目のビール。


「笠井君、旨い具合に席が空いた。お姫様たちを呼んで来よう」

 なにか話があるんだなと僕は付いていく。


「タイムパラドックスを知っているかい」

 レストランから出た瞬間から本題。ま、今は時間がないからいいけどね。

「漫画とかのネタでは」

「まぁ、長々と説明しても、なにせ時間超越やタイムマシンそのものが存在してないからな」

「僕の話しや巴さんたちの存在が信じられないですか」

「実は、私のインカムは君が巴と呼ぶモノは半透明な棒状な物体としか再現してないし、音声もクリアじゃない。殆ど君の独り芝居なんだ」


 胸ポケットから、煙草だと思ったらガムを噛みだした。

「パラドックスに関しては、解り易くてメジャーなのは『親殺し、先祖殺し』かな」

「どうして親を殺すんですか、嫌な人だね」

「は。つまりタイムマシンを創った人間が自分の親先祖を殺したら、タイムマシンも完成存在しない。でもタイムマシンが存在しなければ相手を殺せない。矛盾且つ堂々巡りな思考だ」


「そんなテツガクか理論を僕に理解しろと」

「まさか。今君が関ヶ原に行く。違うな、もっと根源的に遭う遭えるはずのないモノ同士が接触している。しかも会話だけじゃなくトラック輸送までして」


「それで? 僕を止める気ならやってますよね。協力もしてないはずだし」

「八人衆。それは、プロジェクトが結構大掛かりだったからだが、もう一つ役割があったんだよ」


「今の状況やパラドックスと関係あるの」

「おおアリだ。当初は誰かの暴走や情報流出を防ぐために八人衆は誕生したんだ。しかし、RTで時間超越の可能性が指摘された瞬間、八人衆はパラドックス対策の要になったんだ」


「どうしてさ」

「開発者が独りだから『親先祖殺しの矛盾』は成立するのさ。でも合作ならどうだい」


「他の誰かが完成させるから、パラドックスは不成立? バっカみたい」

「役所寄りのプロジェクト幹部は本気だった。時間跳躍は、再現性がなくて実験中止になったが、大勢の関係者がこのRTがタイムマシンに昇華すると期待した。だからパラドックス対策も本気だった。パラドックスの危険がなければ、現代人にとって時間跳躍は金脈と同じだ。問題と答えが解っているんだからな。しかし色々な壁にブチ当たって実験は中止。相当の人間がプロジェクトから離脱。主幹もその一人だった」


 橋本氏の話を聞き流したフリをして、僕なりに考えたけどサッパリ理解できない思考レベルだ。レベル制限を超える話は止めて欲しいんだけどな。


「では、強引だがパラドックスは置いておいて、RTだ。仮に時間跳躍もデーター化も成功しても、相手が同じ受信機を持ってなくては成り立たないはずだ。電話、フィスホだって相手に受信機がなきゃ金属と樹脂だ。それは主幹から聞いてるだろう?」


「何万回もね」

 僕たちはSAの売店モールにいる。お土産用のストラップが目移りするほど展示されていた。


「過去にはRT受信機も支援機もない。パラドックスが発生してないらしい事、空間や次元移動のエネルギーが膨大だとの試算も含めて、タイムマシン否定派はそう唱える。常識だ。だが、君は過去を覗き込み剰え相互交流していると言う」


 アマツサエって何さ。僕を小馬鹿にしているのはわかるよ。


「RTの最大利点が保持されたまま、君は最大の欠点を超越してしまった。このところニュースになってるが、君と関ヶ原やお姫様の周囲のナニかの波長が合致したからRTできた。主幹が予想した通り天然の受信機役を果たした物体があるんだろう。よく漫画なんかでゲームの世界に飛び込むネタがあるだろう? 君は、その事例にあたるらしい」


「僕、あまりホン読まないんだ」


「そうか、時代だな。しかし、ネトゲに興じていたらその世界に”トンだ”お話の欠点は二つ、いずれも真実は致命的で、先ず、相当な知識がないと単なる役立たずだし主人公が起こしたパラドックス以降は無力だが、君はRTで行き来できる。既に主幹の入れ知恵で平塚のお姫様と接触している。これこそリアルタッチだ。それから、君は運良くお姫様と仲がいい。彼女たちにはバケモノと同じ次元の物体であるトラックに同乗するほどの信頼度だ」


「それが?」

「判らないのかい? タイムスリップや異世界物で軍師になったりするネタがあるが、そもそも信長、今で言えば総理大臣以上の人間がワケわからない子供をいきなりブレインにすると思うかい? 殺すか殺される戦国時代にそんな無茶な冒険をするバカなんていないさ。君だって突然現れた幼稚園児の助言で自分の生き死にを託したりするかい、しないだろう?」


「でも巴さんは信じてくれたよ」


「それは彼女が君に好意を持っていて、しかも直属の部下が少なくて社会的に無力、君に頼らざるを得ないからだ。楽市楽座やノフォーク農法、種痘、大陸の大航海、奴隷制や身分廃止そして後世の技術科学知識。タイムスリップ物で未来人が過去で科学や政策を披露するネタがあるが、現実にそんな簡単な話じゃない。種痘がどれだけ普及に苦労したと思っているんだ? 他にも、ノブナガが廃止した関所は家康が復活させている。座も後々元通りなんだ。科学だってそうだ。君は風邪薬を造れるかい? 一度持ち込んだ道具がいつまで使えると思っているんだ? 新規で製造できないのに何十年もエンジンを再利用? バカも休み休み言えってなものだが、君は違う。史実と違う展開でも対応できるし、平塚の姫が支援してくれる。時間の、いや人生ドラマの枝分かれでも順応可能だ。極端には、関ヶ原で平塚為広の活躍で石田三成が幕府を開く未来が存在する」


 僕はストラップを幾つかレジに持って行く。橋本氏は語りながら僕を追尾してる。


「興味ないのか。石田幕府成立なら平塚家は功労者だ。いや、君なしでは石田幕府は存続できなくなろはずだ。君は現代の利器を駆使しながら、いい仲になってるお姫様と結婚して中世のお殿様も兼任出来る。時々現代の技術を持ち込むこともできる。RTがあれば君は無敵、神と同じなんだよ」


 橋本氏がストラップの代金をカード払いしようとするのを僕は断った。


「受信機がないはずなのに君には何故か“出来る”。例え関ヶ原や平塚家限定でも凄いじゃないか。しかも往復が可能。RTの最終形態、最高理想を君はその手に掴んでいる。この際仕組みなんて、どうでもイイ。君はRTで時間飛翔の、しかも往復が可能なんだ。忘れないでくれ。そんな君に私はずっと先行投資してたんだ」


「バイト代と今の協力には感謝するよ。ねぇ、今僕は頭が沸騰してる雲丹なんだ。ヘンな話はもう勘弁してよ」


 僕は、コンマ秒で芝生で休んでいる巴さんたちの側に居たかった。でも実体の物理的移動は二分くらいの時間を僕から奪った。


「巴さん、皆さん。行ける?」


 巴さんたちも軽目のお昼を摂り終わっていた。


「またお願いします」、巴さん以下全員僕たちに頭を下げた。

「あのさ。あの、ちょっとした記念。っていうか、その。貰って」


 僕は巴さんと侍女、巴隊一人一人にストラップを手渡しした。

「巴さんは太陽のマークです」、昔の西洋の地図なんかに書いてあったやつだ。

「薄葉さん、これ紅葉の図案です」、バレたら怖いけど紅葉マークだ。

「紅餅さん、お正月の鏡餅のタイプ」、よくあったなこんなデザイン。

「小伊賀さん、くの一でず」、ウィンクしたくの一だった。

「弓勢さん、これ射手座と言いまして、まぁ西洋の日付占い遊びの図案です」、そのまんまだな。


 皆は、ストラップが理解できないのか正直微妙な表情だ。失敗かな、このプレゼント。


「はい、ドジっ子メイド」

 僕は鰯丸に、てへペロをしたメイドさんのストラップを渡した。

「あのね、僕たちの町ではメイドは鰯丸、皆と同じ侍女のことなんだよ。死人の世界じゃないんだ」


 話がややこしくなるから、ドジとか可愛いとかセクシャルシンボルとかは黙っておこう。

「ドジっ子が侮辱です」

 鰯丸は、頬っぺたを膨らました。


「だって弱しの鰯丸ですから」、珍しく薄葉さんがチャチャを入れて荷台は笑いが広がる。


「しかし、君は詰めが甘いな。女性にはアイテムも大事だが、化粧も重要だ。匂いも伝達可能な点がRTがVRMMORTを凌駕する機能の一つだと言う点を考慮すれはな」


 橋本氏が荷台に載って来た。ハカセはもう助手席に座っていたね。

「長旅だが入浴は無理だし化粧の時間も惜しい。折角だ現在の化粧品をあげるのが高得点だと結論出来る。これは青リンゴの匂いのコロンだ。禁則事項を警戒しながらのプレゼントより効果的な筈だ」


 橋本氏はキャップを開けたコロンの小瓶を僕に渡した。

「強めだけど香しいと言うか」、「甘さが豊か過ぎますが、悪くないですね」


 悔しいけど僕のプレゼントより圧倒的に好評だ。橋本氏は、てっきり僕に得意げに見下すかと想像してたけど、


「では、参りますか。余計なお世話だが、また寝た方がいい。車酔いには効果的だ」


 へぇ。僕は意外な一面を見せた橋本氏の背中を見送っていた。


『山崎女子の愛用品が青リンゴのコロンじゃったな。橋本』

「主幹、利子つけますよ」


 とにかく関ヶ原に再出発。エンジンが起動すると素早く巴さんが僕に腕を回した。鰯丸が、もう僕に膝枕した。そして、薄葉さんが咳払いをして今度は僕の足首に触れる。場所は問わないけど、色んなところを僕はリアルタッチされていた。


 橋本氏の運転はハカセより高速で激しい。トラックは揺れっ放しだから静岡の風景は、誰の目にも映らないし口にしなかった。



 某、風×谷の設定は、バカ過ぎると思います

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