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速攻すぎる展開

あけまして初投稿!

今回も皆様寄ってたかってツッコんでくださいませw

 俺こと星峯祐典。18歳。

 異世界トリップして10分で死亡。



 ――――――んなわけあるかぁ!と叫びたいが、からだが言うことを聞かない。

 意識もぼんやりとしている。


 俺は、死んだのか?


 そのことだけが頭のなかをグルグルと駆け巡る。

 最後に見たものとともに。

 灰色の狼から放たれたあの一撃によって俺は殺された。

 それは疑いもしない、なぜならあれが現実だから。


 じゃあ、と俺は自分に向けて質問を投げかけた。



 あの白いものは何か、と。



 視界に広がる真っ黒な景色の中心に見える白いモヤのようなものだ。

 俺はそれを三途の川と思った。

 少し輝いているようにも見えるのは陽光か何かを反射しているからだろうか?


 意識が定かじゃない俺の頭では、すでにネガティブ思考のようなものが渦巻いていたからそうとしか考えられなかった――――――


――――――んだけど、



『お~い・・・・・・お~いってば!』



 うそ、声が聞こえるんですけど。しかも女の子だし。

 ナニコレ、神様でもいるの?


 そう思っているそばからまた声が聞こえた。どうやら空耳じゃないみたいだ。優しくてどんな遠くにいても聞こえてくるように透き通った少女の声だ。

 となると、目も開けられるんじゃないのだろうか?

 そう思った俺は試しにゆっくりと目を開けてみる。


「うっ・・・・・・ぐ・・・・・・」


 一気にまぶたを開いたせいか、眩しい光によって思わず目を細める。

 しかし、徐々に目が光になれると目の前の正体ががようやく分かり始めた。


 天井でした。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?」


 はい、真っ白な天井でした。輝いているのは蛍光灯でした。三途の川も蛍光灯でした。

 あまりにもあっさりと三途の川論が崩されたことによって思わず間の抜けたような声を出してしまった。


 いや、さっきまでの俺のネガティブ思考どこ行った?ここあの世じゃないでしょ?つーかさっきの女の子どこ?


 目が覚めた(自分の感覚だとちょっと違うが、表現方法がこれしか無い)瞬間に浮かびだした疑問によって今にも頭がパンクしそうになっている。

 とりあえずからだをゆっくりと起こす。痛みは・・・・・・どうやら体の節々がちょっとズキズキするが、それ以外に異常はないようだ。

 そのまま周りを見回す。

 真っ白な部屋だな、と見た時に思えたのは家具さえも真っ白な部屋だったからだろう。

 新しい病院のように清潔感に満ちているが、どこか物足りなく寂しいイメージを呼び起こさせるような部屋だ。

 横を見ると白いカーテンが揺れていて、窓が開いているのだろうと判断ができた。


 そして自分の手を見る。

 いつもどおり、生命線やら運命線やらがやたらと長い自分の手だ。「やら」と「やたら」が言い辛いなぁ。

 服を見ると、パジャマのようなものを着ていることに気がついた。

 ではここに来るまで着ていた俺の服は?と周りをきょろきょろ見回すと、近くの白い机の上に畳んで置いてあった。ちなみに俺の服は1日のうちの半分近くは着ているブレザータイプの学校制服だ。


 そしてその机の奥を見やる。そこにはドアがあり、ドアノブまでも白い。

 しばらく見ていると、外はどうなっているのかと気になってきた。


 まだここにいようか?それとも外の様子を見に行ってみようか?と自分の頭のなかで葛藤が起こってきた頃――――――


 ドアノブがわずかに回った。


「・・・・・・ウソでしょ」


 思わず、「今でしょ!」と同じニュアンスで口にしてしまったが、どうでもいい。それよりも誰かが入ってくるということに体が緊張した。

 一体誰が来る?さっきの女の子?女の子??女の子???


 ここまで来ると「俺っていつからロリコンになったんだろう」と自問自答したい。


 そしてガチャリと音を立てて入ってきたのは・・・・・・


「・・・・・・あら、目が覚めたみたいね」



 美少女キターーーーー!!


 今俺が本当に死人だったら、両手ぶん回して窓から飛び出すとこだけど。


 整った目鼻立ちの少女は赤褐色の長い髪をツインテールにして垂らしている。服装は白いタンクトップの上にカーディガンを羽織っていて、フレアスカートを揺らすという何とも男子高校生が「モリジョってどんな服装?」って訊かれて答えそうな服装だ。

 年齢は自分と近いように見えるが、2、3歳くらい下に見える。


 余談だけど、モリジョに関する知識が一番薄いのは自分だと思ってる。

 もう一個。いらない知識だと思うが、髪色が茶色や金色から黒(その逆もしかり。ありえないと思うけど)に変わるとき、その中間地点として赤い髪になるというのを聞いたことがあるけど、この娘もそれに該当するのかもしれない。髪の毛ってすげー。


「・・・・・・で、気分はどうなの?」

「えっ?あ、えーっと・・・・・・」


 いらないことに思考を巡らせていたせいで、彼女が話しかけたのに少し遅れて反応してしまった。我ながら情けないかもだな。


 さて、問題はどう答えればいいのだろうか、なんだけど。本来はこっちに頭をつかうべきだったと少しだけ反省してみたけど、そんなヒマはこの状況では必要ない。

 とりあえず今言いたいことを言おう、とりあえずまずは・・・・・・



「なんで日本語しゃべってるのぉ!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 あ、やっぱり失敗っぽいね。

 でも本当に気になったから聞いたんだけど。ほら~見てよあの表情、いかにも「あ~、だめだわコレ。きっと頭打ったんだわ」みたいな目で見るんだけどセンセ~。


「えっと・・・・・・すいません。つい取り乱してしまって」


 とりあえず謝った。なんか気まずくって一応謝っときましたからいいでしょ?


「いや、別にいいんだけど・・・・・・それで気分は?」


 今度はため息混じりで訊かれたが、今度はトチ狂う事無く普通に頷く。

 そう、と彼女は警戒心を少し説いたように眼つきを変えた。


 するとドアの奥から走るような足音が近づいたと思うと、もう一人の女性がひょっこりと部屋の入口に頭だけを出す。


「あらあら~、どうやらお目覚めしたようね?」


 その声は全身から力が抜けるように陽気なものだった。

 けどこちらの女性も美人だった。

 その女性は入り口から頭だけを出す体勢を続けるのは辛いと思ったのか、頭を引っ込めると部屋の中に入ってきた。


 身長は赤髪の少女より頭一つ分高く、にこにこと愛想のいい笑顔を向けている。多分この二人は姉妹なのだろう。

 服装は赤髪(面倒だから省略)と似たような色合いだが、背中にかかるくらいの長い黒髪で少し見た目が違うことが強調される。そして・・・・・・


「あっ・・・・・・」

「ん?どうしたのかな?」


 女性の服装を少し見た瞬間、俺は咄嗟に目を逸らした。いや、ここまで来ればわかるでしょ男子高校生諸君?

 反射的にこんな行動ができるとは、なんて紳士的なんだ俺。

 なんてナルシスト発言してるが、赤髪は気づいているみたいで冷たい視線がちょっと痛い。


 結局原因がわからない様子の黒髪さん(見た目が年上っぽいからさん付け)は「まぁ、いっか」と手を叩いて話題を切り替える。

 あの~、俺にとっちゃ良くないんですけど。今後の展開的に。


「それじゃあ、まず自己紹介ね。私の名前はメリル=テラー。年は19ね。それでこっちは私の妹」


 変わらぬ笑顔で黒髪さんは自己紹介すると、隣の赤髪を急かすようにの背中をポンポンと叩く。


「お姉ちゃん。別に自己紹介しなくってもいいと思うんだけど?」

「こらこらライナ。この方だって状況を把握していないんだから名前ぐらいは言っておかないと」


 嫌そうな表情になったライナと呼ばれた赤髪の少女を困ったような笑みでたしなめる。どうやらメリルさんのこの笑顔は彼女の地のようだ。


「・・・・・・ライナ=テラー、16歳。ライナでいいよ」

「は、はぁ」


 その少女は頬をふくらませてそっぽを向くが、小さな声で名乗ったのでとりあえず頭を下げといた。

 その様子を見て「よしよし」とメリルさんが頷くと、こっちに視線を移した。


「それで、あなたの名前は?」

「あ、星峯祐典です。年は18です」


 今度は俺が自己紹介をすると、ライナとメリルさんが揃って首を傾げた。

 なぜかと思ったけどすぐに答えがわかった。ファーストネームがどっちか判らないのだ。


「えっと、祐典が名前です・・・・・・」


 試しに補足して言うと案の定、2人共「あ~なるほど」といった様子で頷いた。


「それにしても、目が覚めてよかった~。だって街道のど真ん中で倒れているんだもん」


 すると、メリルさんはホッとしたような表情に切り替わる。

 まぁ、別にスキで倒れてるわけはなかったんだけどね。

 そんな様子のメリルさんをライナはちらっと見ると、こちらに視線を戻して口を開く。


「あなた。あそこにいたってことは、もしかして【メタトロンの森】にいたってこと?」


 なんかしょっぱなから中二臭い名前が聞こえたぞ。なんだメタトロンて?

 悪いけど俺はメガ○ロン様しか知らんぞ?他にもいるだろうけど。


 しかし彼女の言う【メタトロンの森】とは、恐らく俺が狼の集団にフルボッコにされた時にいたあの森だろう。異世界に入っていきなり悪い思い出(トラウマ)ができてしまった気がする。


「はい、多分」


 俺は恐る恐るライナに向かって小さく頷く。

 そういえば、なんで俺はライナより年上なのに敬語使ってるんだろう?


そんな疑問が頭をよぎった時、ライナが大きくため息をついた。


「・・・・・・あのねぇ、あの森は手練の戦士でも軽傷じゃすまないような危険な場所なのよ?なのに見た感じでも体躯に自信のある格闘家でもないような貧弱な学生が、何をノコノコと行ってるんだか・・・・・・」


 睨みつけるようなライナの視線は苛立ちさえ持っている感じがする。それなりに心配されていると思っていいんだろうか?

 ・・・・・・でも貧弱は言いすぎだろ~。確かにそっちから見れば俺は貧弱貧弱~!なんだろうけど。


 やべ、痛い友人の症状が伝染うつった気がする。


 そんなやりとりを見て「たはは」と苦笑いするメリルさんが口を開いた。


「・・・・・・でも、なんであの森に行ってたの?何か目的でもあったのかな?」

「・・・・・・えっ、あ・・・・・・」


 さて、ここで回答に困ってしまった。


 知っている通り、俺はつい先程まで別世界にいた身だ。

 だからここにいる時点で俺は彼女たちからすれば「異世界の住民」だ。

 それをあっさり打ち明けて信じてもらえるとは限らない。

 となると、ここで何とか安全かつ確実な回答をしないと・・・・・・


「「?」」


 俺が考えている素振りが言い渋っているようにみえるのか、ライナとメリルさんは揃って首を傾げてる。

 マズイ!そろそろ答えないと怪しまれる。

 考えろ、考えろ俺のIQ100の頭脳よ~~~!!!


「・・・・・・じ、実は俺・・・・・・」

「「うんうん」」



「・・・・・・き、記憶喪失なんです」

さて、記憶喪失でどう言い訳できるんでしょうかw?

また新たなネタを考えるために滝行だ(ry

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