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まきこまれ系猫  作者: ゼタ
一章 勇者召喚と勇者の成長
4/7

召喚そしてもふもふ

新章始まりです

「―――――――」


城の一室でそれは行われていた。









――――――――――


ナブール、それは世界を五つに分けたときに人間界にあたる場所だ。

他にも魔界や天界、龍人の大陸、精霊の園があるのだが今は置いておこう。

ナブールの西に位置する大陸で最も大きな国、ビルルック。

この国は大きく四つに分けられる。

冒険者ギルドが中央に存在する西区、商業ギルドが中央に存在する北区、建築ギルドが中央に存在する南区、そしてこの国の王が住まう城がある東区に分けられる。

ビルルックは西の大陸の東にある。

ナブールで西を任せられている国でもある

ナブールは4つの国が切り盛りしている。

西のビルルック、北のエレナン、南のシスコッティ、東のジャルネ。

他の国はその4つの中から一番近い国に所属ということになり、ナブール会議がある場合はまず、4つの国を含めたその大陸の代表が集まりその大陸での意見をかため、最終的に4つの国が集まり会議を進める。

そして今回もこの4つの国が集まり会議を開いていた。

覇王についてだ。

覇王とは現在の魔王、アイザックの次に強い権力者だ。

しかし何かしらの手段でアイザックと同等の力を手にいれて独立し覇王城なるものまで建て世界の魔物たちを活発化させているのだ。

アイザックは比較的穏和でちょっと戦争したりするがそこまで交戦的でもなく安全だったのだが覇王はそうではなかった。

覇王は今までで何回か戦争を起こし周りの国の被害はけして小さいとは言えなかった。

以上から人間達は魔王に力を借りようしたのだが魔族にも色々あるらしく断られた。

妖精王や

そこで覇王対策として勇者召喚が提案された。

これには精霊に好かれた人間にしか出来ず好かれた人間がビルルックの姫しかいないということで勇者召喚はビルルックで行われることになった。

そして勇者だけでは不安だったナブールは平和協定を結んでいる精霊の園、エタールに連絡を取ったところ魔術師を一人寄越してくれることになった。

その魔術師とはリヘルなのだが実際に送られるのはシャオだ。

何故エタールがリヘルを推薦するのかというとリヘルが人間でありながら精霊王デセルとかなり仲が良く、エタールに住んでいるからである。


「――――――」


そして今、ビルルックの城の一室で勇者召喚の儀式が行われていた。


「―――」


勇者召喚は精霊魔法でしか出来なく、ビルルックのリーナ=E=ビルルックは精霊の声を聞き、そのまま復唱している。

その声はとても綺麗で周りの者を魅了した。

シャオもその一人であった。

シャオは勇者召喚の三日前に旅からリヘルのところに帰っていた。

シャオはそのままナブールのビルルックへとほぼ蜻蛉返りだった。


「―――――――――___!!」


詠唱が終わったのか部屋の中央に描かれた魔方陣が光りやがて一人の少年と一人の少女が現れた。

シャオは息を飲んだ。

勇者召喚に驚いたのではない、喚ばれた人間に驚いたのだ

少女の方、肩までの黒髪をポニーテールにした少女が自分の、否、前世の妹だったからだ






――――――――――


「兄さん…っ…」


通り魔事件の被害者である少年の葬式で少女が泣き崩れた。

周りの人は哀れみの目で彼女を見、彼女の家族は背中をさすりなだめていた。


彼女の兄が殺されたと連絡があったのはちょうど部活をしている時だった。

最初はいたずらかと思ったのだが母親の慌てた声を聞いて彼女はろくに着替えもせず病院へ向かった。

せめて最後にありがとうが言いたくてさよならが言いたくて死なないでと言いたくて彼女は必死に走った。

しかしそれが報われることはなかった。

彼女の兄はほぼ即死状態で病院へ搬送される途中で息絶えていた。

彼女は兄の死体にすがり付き泣いた。

その後も離れようとせずその日はずっと兄のそばにいた。


そして葬式が終わり五ヶ月がたったある日、彼女はいつものように墓参りをしていた。


「兄さん、今日は部活で自己記録更新したんだよ?凄いでしょ」


彼女は亡き兄に話しかけながら墓の掃除を始めた。

毎日来ているため雑草はほとんど生えていない。

墓石を磨き線香を新しいものに取り替え花を取り替え、数分話した後彼女は家路についた。

石の階段を下りて横断歩道を渡ろうとしたときそれは起きた。

足下にいわゆる魔方陣が現れ目の前にゲートが現れたのだ。

彼女は焦った。

しかし魔方陣が足止めの役割を果たしておりその場から動けない。

ゲートが動きだし彼女に迫る。

こうして彼女は抗うことすらできずビルルックに召喚された。




――――――――――


「うまっ」


少年は学校からの帰り道コンビニに寄り150円のチキンを買い食べていた。

すると足下に魔方陣が現れ目の前にゲートが現れた。

そしてビルルックに召喚された。


「え、それだけ!?」




――――――――――


「なんか雑に扱われた気がする」


少年は一人呟いた。

彼の名前は五十嵐(いがらし) 奏八(そうや)16歳。


「ここは…?」


少女の名前は白波(しらなみ) 夕奈(ゆうな)15歳。

二人は勇者としてこのビルルックに召喚された。

周りの者は二人召喚されたのを驚くものや頬を赤く染める者など色々な反応をしていたがこの中で一番驚いていたのは他の誰でもないシャオだった。

夕奈が何故…?だとか少し元気がないか…?とか再会出来て嬉しいとか色々な感情が渦巻いていた。

勇者二人とリーナ、それと女騎士とシャオは周りの者を置き去り別室に移動した。




――――――――――


「初めまして私はビルルックの第三姫リーナ=E=ビルルックです。よろしくお願いしますね」


リーナが別室に入るなり自己紹介を開始した。

それに続き女騎士や奏八、夕奈も自己紹介を始めた。


「私はリーナ様の近衛騎士、サラ=A=リデナだ。よろしく頼む」


赤毛の女騎士だ。

髪はショートカットで赤の服にプロテクトアーマーを身に付けている。


「えーと、五十嵐奏八だ。こちらでは奏八=五十嵐かな?良くわからないがよろしく」


ボサボサの黒髪で学ランを着て背はサラより若干高く、左手にチキンを握っていた。


「白波夕奈です、夕奈が名前です。よろしくお願いします」


学校帰りに墓参りをしていたので学校の制服を着ている。

シャオは夕奈の姿が成長していないことに疑問をもったがこの世界とあちらの世界の時の流れが違うことをリヘルに聞いていたのですぐに疑問は晴れた。

シャオがそんな感じで思考を巡らせているとサラが少し怒りを見せてシャオに自己紹介をしろと迫った。

普段怒ることがないシャオだが偉そうな態度をとるサラにちょっと怒りを感じ「…シャオだ」と短く自己紹介をした。

サラはまた迫ろうとしたがリーナに宥められその場はおさまった。


「それでですね、あなた達を喚んだのは…」


と覇王のことや魔王のことを説明し始めた。

シャオはその間、夕奈のことを考えていた。

少し元気がなさそうなのはやっぱり自分が、白波夕十が死んだからだろう。

夕奈は少し夕十に依存しており兄が大好きだった。

その兄が死んでしまっては元気がなくなるのも無理はない。

周りの友達や家族に励まされ元気を取り戻しつつあったのだがこんな所に喚ばれ、知り合いも一人もいないので不安が一杯だった。

それをシャオはなにか虐めがあったのか?とかまさか男か!?とお前は父親かと突っ込みたくなるようなことをずっと考えていた。


「…ということなのです」


リーナの説明が終わり沈黙が場を覆った。

二人ともこれからどうするのか考えているのだ。

やがて二人は口を開け答えた


「俺は報酬つきである程度自由に出来る権限をくれればやらんこともない。後、俺を勇者と公表するな」


「貴様、報酬など…!勇者を出来るだけ光栄に思わないのか!」


サラが吠え剣に手をかけ怒りに身を任せ奏八を斬ろうとした。

しかしそれはシャオによって止められる。

シャオは部屋の隅にいたのだがその身体能力だけで一気に間合いを詰めて剣を素手で掴んだ。

サラはそれに驚くが何故止めるのだと声をあげた。


「ハァ…お前はいきなりわけのわからない世界に召喚されてしかも勇者をやれとほぼ強制だ。報酬ぐらいの要求は当たり前だ。むしろやってくれるだけありがたい。近衛騎士様はそんなこともわからないのか?」


ぶっちゃけシャオは覇王ぐらいなら苦戦程度で倒せるので感謝もくそもしていないのだが元日本人として奏八を助けた。


「そうですよ、サラ剣を下げなさい。…申し訳ありません奏八様」


しぶしぶ剣を下げたサラだが何故か怒りはシャオに向き人を殺せるのではないかと言うぐらいの殺気をシャオにぶつけた。

実際一般人ならば気絶するほどの殺気なのだが人間程度の殺気、更にはシャオにとってそこまで強くないサラの殺気などそよ風同然だった。

あくまでシャオにとってなのでサラもだいぶ強い。

サラは自分に非を感じたのか自らも奏八に謝った


「その…すまない」


「あぁ別に気にしてないよ。あとシャオ…だっけか?ありがとうな」


「当然のことをしたまでだ」


シャオはもうこの場のことはどうでも良くこの後行われる食事会のことを考えたいた。

シャオは旅に出ていたときおいしいものは沢山食べていたのだが城の料理は初めてだったのでかなり楽しみなのだ。

雑談などが始まってもシャオは部屋の隅でそんなことを考えていた。


「あの…シャオさん」


急に声をかけられびっくりしたのだが話しかけてきた人物を見てもっとびっくりした。


「夕奈…だったか」


一応知らないふりをしたシャオなのだが夕奈に声をかけられて嬉そうな顔を隠しきれていなかった。


「はい、あの聞きたいことがあるんですけど…」


しかし夕奈は気になることがあるらしくシャオの様子に気づくことはなかった。


「その猫耳…本物ですか?」


さきほどまでの元気がなさそうな夕奈ではなくうきうきした感じだった。

シャオは自分の猫耳を一撫でし言った。


「あー…本物だが……………さわってみるか?」


本物だがのあたりから、さわりたいオーラを放出する元妹に負けて普段はキレヒにさえさわらせないのに許可をしてしまった。

因みにキレヒは現在龍の大陸で活動している。


「もふもふ…」


そろそろ恥ずかしくなったのでやめるように言おうとしたのだが猫耳をさわる幸せそうな夕奈を見てもう少しだけさわらせてあげようと思ったシャオであった。



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