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第3話:出会いという名の罠 -そして運命は廻りだす

ふよふよと漂いながら、クーニャは移動していく。

初めて見る地上の景色は、陰気臭い地下の世界とは異なり色と光にあふれていた。

それだけではない、新鮮な空気が常に供給されている。地下世界のよどんだ空気とは大違いだ。


「お~い妖精さん。出っておいでぇ~。勇者様はここだよ~。」


その新鮮な空気を汚すような、何かおぞましい気配をクーニャは感じ取る

まだこちらには気が付いていないが、自分のことを探しているようだ。


「妖精ってどうやったらおびき出せるんだろうか。木にハチミツとか塗ったらいいのかな?。それともチーズ?」


一体自分たち妖精を何だと思っているのか。


「仮に見つけても逃げられると面倒だな。いったん街に戻って網と虫かごを買ってくるか。あとは適当に腐りかけの果物でも...。」


「ちょっとあんた!!、妖精をなんだと思っているの!!。」


ついこらえられなくなり、クーニャは叫んでしまった。

しまった、これでは自分の居場所を白状しているようなものではないか。


「おや、そんなところに居たんだね。大丈夫、安心してこっちにおいで。何か食べるかい?」


「あのね、私たち妖精は昆虫やネズミじゃないの。本能だけで生きるあいつらとは違って、自分の意志と思考をもっているのよ!!」


「つまり君は自分の意志によって返事をして俺の元に来たんだね。なんて積極的なんだ...。"当たり"だな。」


クーニャは思った、この男の話を聞いていると、不思議と相手のペースに引きずりこまれる。

そしてそれが、結果的には奴にとって都合の良い展開となる。

腹立たしいがそのことは認めざるを得なかった。


「そうだ。そんなよい子の君には名前をつけてあげよう。そうだな、『ヤン・バレリーナ3世』とかはどうだろう。」


「...。私には『クーニャ』はという名前があるの。お願いだから変な名前で呼ばないで。」


「分かった、元から名前があったなら仕方ない。申し訳なかった。」


いや、もし名前がまだなかったらその名前を付けるつもりだったのかよ、とクーニャは思った。


「まあ、いずれにせよもう俺たちは友達なんだ。これからよろしく、クーニャ。」


「よろしく。何よ、意外と素直じゃない。」


「まあ、自分の心には素直に生きているからね、その結果王様に怒られたけど。」


「...。あなたは自制心の方を身につけたほうがいいわね。」


ひと悶着あったものの、二人は無事打ち解けることができた。



「えーと、まずは状況を整理しましょう。新太郎、まずあなたは酒に酔った勢いで、水路に飛び込んだ。」


「酔い覚ましにね。」


「で、飛び込んだ水路には"トラック"が沈没していて、それに頭をぶつけて死んでしまった。」


「うむ、だがあいにくオツムの方は無事だった。転生前と何ら変わりない。」


「で、あなたを召喚した召喚士達に囲んでボコられた。」


「許せないよなぁ!?」


「で、王様と話をして、ついでに赤ちゃん役をやってもらった。」


「あやうく父性に目覚めるところだったよ。」


「で、あんたが手に入れたチート能力は『誰かと漫才を繰り広げる能力』だったと。」


「誰かって誰なんだろうね....。いや誰?知らない人!?。知らない人と漫才するの俺怖いよ!!。」


「...。いやどうすんのコレ。」


クーニャは頭を抱える。勇者のチート能力と言えば「時間を止める」だったり、「竜を使役する」といった強力なものであることが常識だ。

あるいは、最上級の能力であれば、強力な呪文「もう遅い!」や「ざまぁ!」を自由自在に使いこなして、相手を一撃で倒すことが出来る。

だが、自分のパートナーとなった新太郎の能力は、よりにもよって「誰かと漫才を繰り広げる能力」である。


ここまである程度付き合ってきて分かったが、確かに周りの状況が新太郎の有利(?)に働いているようには感じる。

だが、やはりどうにも頼りない能力であることは確かだ。

自分がしっかりして勇者を導かねば、そう覚悟を決めた。


「ねえ新太郎。とりあえず王様からもらった『冒険者スターターキット』を開けて見ない?何か役に立つものが入っているかも?」


「おお、確かにそうだ。さすがクーニャよく気が付くな。」


箱を開けると中には、金貨の袋、包帯、乾パンといった極めて実用的な物が入っていた。

二人は感動していた、何だ意外とサポートがしっかりしているじゃないかと。

だが物資の中に、何やら紙が入っていることに気が付いた、その紙を広げて読んでみる。


-勇者殿へ、貴殿には『ある書物』を探していただきたい。探す手がかりだが、貴殿を導く役割を追った妖精に聞いてほしい。以上だ。-


「クーニャ、何か心あたりはあるか?」


「いや、全然。というか、情報が少なすぎないかしら、どうにも不自然だわ。」


しかし、これ以上この紙に書かれた内容を考えても仕方ないだろう。

とりあえず、やるべきことは決まっている。


「新太郎。いったんハンバルグの街に戻って冒険の支度をしましょう。食料やら武器やら色々準備が必要だわ。」


「そうだな。後は酒とかが必須だよな。」


「だめよ、絶対ろくなことにならないわ。後は...、どうしてもやりたくないけど、仕方ないわね。」


クーニャは意を決したように口を開く。


「奴隷市場に行きましょう。仲間を増やすのよ。」


「!?」


新太郎はあっけにとられていた。

ブックマークや評価があるとうれしいにゃん♡

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