①
「ねぇねぇ 聞いた?」
「なになに?」
「あのね、隣のクラスの…くん
引っ越すんだって」
「えっ?そうなの?」
「そうなの、なんかね、親の仕事の都合だって」
「あー、それは仕方ないのかな…」
「うん…、なんか、寂しくなるなとか
離れ離れだなって、友達と話してたの」
「仲良い友達からしたら、ショックだよね」
「そうそう、でね…」
「えー、マジ?」
「……」
がーん…
えっ?まって、どういうこと?
さっきの子たちが話してた男の子って
私の好きな人じゃん
えっ?ちょっと待ってよ?
引っ越す?どこに?
寂しくなる、離れ離れって
転校するってことだよね?
えっ…どうしよう…どうしよう…
「ねぇ話聞いてる?」
「……」
やばいよ、どうしよう…
入学式で 一目惚れして、同じクラスになれて
やったー!と思ったのに
何も進展ないまま、2年生になっちゃった…
相手に彼女はいないと、小耳に挟んだから
まだチャンスはあると
少しは希望持ってたのに
「ちょっとー、ねぇってばー」ゆさゆさ
「あっ、なに?どうしたの?」
「いや、どうしたの?じゃないよ
じっと睨んで何かあったの?
悪口言われたの?」
「あっ、違う違う
なんか、えーと、虫!
そう、虫がいた気がして」
「えっ?虫!? どこどこ!?」
「あーと、気のせいだったみたい」
「もう、早くしないと授業始まるから急ごう」
「うん」
「……」
うー、授業が耳に入らない
だって、私の右斜め前方にいるんだもん
私の好きな人が…あー、どうしよう…
クラス替え無いから、卒業まで同じクラス
席替えで近くなれば、話せるチャンス来るはずと
思ってたけど、遠くの席ばかり…
でも、まだ大丈夫、時間はあると思ってたのに…
もう、こうやって姿を見ることできなくなるんだ…
あーあー
「ここテストに出るからな」
「……」
テストか…やだな…
テスト前に引っ越すのかな…いいな…
よくないけど…
転校した学校でも、テスト同じ時期にあるのかな?
はぁ、どうでもいいな
いつか、付き合えたらと思ってたのに
もう会えなくなっちゃうんだ…




