唇と閃光-1
「(…なんか連れて帰ってしまったし)」
リビングのソファに脚を広げてドカッと座っり、背もたれに体を預けた椿は、疲れた目で宙を仰いだ。
そこに、キィと音を立ててドアが開き、先程連れ帰った女が入ってきた。
「お風呂ありがとうございます!猫脚のバスタブ、可愛いかった!」
「はいはい…」
「あと、着替えもありがとうございます!」
女性に人気のルームウェアブランドのワンピースを着た女は、お風呂でサッパリしてご機嫌だった。
「ああ、気にしないで。元カノが置いていったやつだから」
「うわぁ…」
話題を変えるために、椿は勢いをつけてソファから起き上がった。
「何か飲む?」
「あ、お水ある?」
「ん。待ってて」
〈ミー…〉
椿がキッチンへ行ったのと入れ替わるように、
白くてふわふわなミヌエットの子猫が現れ、
女の足元で戯れはじめた。
「わぁ、可愛い!」
女はキッチンで水を用意している椿に尋ねた。
「ねえ、名前何ていうの?」
「ラムネ。女の子」
「そう!ラムネちゃ〜ん♡」
女は椿のことをそっちのけで、ラムネの喉元をくすぐりだした。
椿は、トンと音を立てて、お高そうなラベルのミネラルウォーターをテーブルに置いた。
「で。さっさと不老の秘密を教えてくれない?渚さん?」
この女の名前は渚というそうだ。
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