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不老の少女-3
薄らとした音量で流れていた店内のテレビから、連続不審死の特集が流れてきた。
『昨日、複数の美容クリニックで、患者の不審死が相次いでいることが明らかになりました。
警察によりますと、ここ一か月の間に、都内の美容クリニックに受診歴のある男女が、少なくとも5人死亡していることが分かりました。
5人の関連性を示すものは見つかっておらず、警察は慎重に捜査を進めています』
被害者の共通点は美容クリニックに通っていたことらしい。
それぞれ違うクリニックだが、どこもアンチエイジングに力を入れていることを、椿は知っていた。
テレビのキャスターが神妙な顔をして「美と若さを追い求めた結果なのでしょうか」と言ったところで、椿の背後から乾いた呟きが聞こえた。
「バカみたい」
呟きの主は、週刊誌を読んでいた女性だ。
普段の椿なら知らない人の独り言に耳を貸すことなどしないが、このときは疲れていたのか、女性の言葉が妙に癇に障った。
椿は、カウンター席からボックス席に振り返った。
「君みたいな若い子には分からないよ」
「あなたも充分若いじゃない。少なくとも私よりは」
「はい?」
「だって私、推定120歳よ」
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