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不老の少女-1
後日、ファッション雑誌の撮影で薔と再会した。
薔は先日のオーディションに合格し、事務所のマネージャーと雑誌編集部に売り込みに来たところ、流れで、撮影の見学をすることになったのだという。
薔に同行していた中年の女マネージャー・藤田が、椿に声をかけた。
「椿、この子うちの新人」
椿は、若くて人に好かれそうな薔を見て、内心複雑な気持ちになったが、それを微塵も見せず爽やかな笑みを浮かべた。
「覚えてるよ。よろしくね」
「薔です!よろしくお願いします!」
薔は初々しく頭を下げた。その様子を見ていた撮影スタッフの一人が、「椿くんの後輩? 可愛い〜!」
と声をかける。
するとそれをきっかけに「俳優もいけそうだね!」
「今度撮らせてよ〜!」と次々に声が飛び、将来有望な若手に人が群がっていった。
薔は編集部にかなり気に入られたようだ。
だが、椿もプロのモデルだ。
〝ただ事務所に入っただけ〟の男の子に負けてはいられない。
着替えるたびに、シャッターが切られるたびに、瞬時で服の世界観を掴んで演じる椿に、スタッフから感歎の息が漏れた。
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