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人気モデルの逆光-4
事務所から恋人を作るなとは言われていないが、多種多様な服を着てさまざまなシーンを体現し、夢や理想を売る椿は〝生々しい人間的な部分を見せたくない〟というモデルとしてのこだわりを持っている。
匂わせなどされたら、夢が崩れてしまう。
椿は、強めの溜め息を一つ吐き、気怠そうに前髪をかき上げた。
「…別れよ。なんかもうしんどい」
「やだ。」
梨花は椿を強引に引き止め、キスをした。
それからしばらくして、椿は眠る彼女を起こさないようにベッドから降りた。
そして、宿泊費と、梨花に強請られて購入したブランド物のペアリングを置いて、部屋を出て行った。
椿がホテルを出ると、まだ夜中だった。
適当に拾ったタクシーの窓からは、眩い都会の光の中で、煌々と光る美容クリニックの看板が目に入った。
人気モデルの逆光 終
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