人魚の目論見- 4
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「(感情ジェットコースターかよ)」
椿はフカフカのベッドに横たわり、椿の美意識を形にしたような、白のモールディングとメダリオンが美しい天井を仰いだ。
「(泣いて真珠を出して、最後は楽しそうに笑って。面倒な女なのに…)」
その後に続く言葉を、鉛筆を擦るように掻き消すと、趣にスマホを手に取った。
「あ、乃上さん」
葵から、食事のお礼のメッセージが来ていた。
返さなくてはと思ったが、混乱による疲れからか、急激な眠気に襲われ、そのまま目を瞑って眠りに落ちていった。
一方、自分の部屋に戻った渚は、ほっと力が抜けた顔で、ベッドに入った。
「(説明する手間が省けたから、これはこれで良かったのかも)」
不老の秘密を餌に、椿の家に転がりこんだが、人魚の血を引いているなど、荒唐無稽と言える話を信じてもらえる自信は無かったのだ。
だけど渚は言わなかったことがある。
──人魚の体液の依存性。
「(潜伏先として、椿くんほど最適な人はいない。私はまだまだここにいなくてはいけない)」
椿が誰を好きになって、誰と付き合おうと、渚は今、全てを明かすわけにはいかなかった。
「(初めて会った日も、今日も、あれだけキスしたんだから、しばらくは大丈夫なはず)」
渚は、確信しきれないまでも、何とかなると自分に言い聞かせて、眠りについた。
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