ほどけゆく理性、その夜-4
渚が着替えている間、椿はスマホでSNSをチェックした。
「(ああ、やっぱり…)」
《え、何これ誰これ? 椿?》
《有名な匂わせ女じゃんw てか、椿めっちゃ嫌がってるしw》
《梨花でしょ? 芸能人の自覚無いの?》
《女の趣味悪い。椿くんの仕事に響かなければいいけど…》
ネットでは、店の前で梨花に抱きつかれた写真が拡散中だった。
椿はマネージャーに電話をした。
「あ、藤田さんお疲れ様です」
『あ! 椿! 今電話しようと思ってたのよ! あの写真はどういうこと!?』
「いや、店の前から出たら突然…」
『はー…。あのコってアレでしょう? 匂わせのコよね?』
「まあ…」
『とにかく、今すぐ否定を…』
「あの、藤田さん。彼女のプライドを傷つけるような否定の仕方はしたくないんです。だから…」
椿は自分の影響力を自覚していた。
言葉次第で梨花の人生を潰すかもしれないし、そんなことは望んでいない。
『…分かった。文言を考えてみる』
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
椿が電話を切ると、ラムネがちょこちょこと近づいてきて、足元に体を擦り寄せた。
〈ミー?〉
「ラムネ〜」
椿はラムネを抱き上げると、背中を撫でながら「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせた。
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