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ほどけゆく理性、その夜-2
「椿!?」
突然名前を叫ばれた。
「梨花…!」
「椿…椿!」
梨花は椿に駆け寄って、抱きついた。
「ちょっと…!」
人通りが多い中、突然の事に、椿は対応ができなかった。
「ねえ、あれって椿?」
「ホントだ!椿だ!」
治安が良い場所ではあるものの、椿はただでさえ目を惹くうえに有名人。
通行人の何人かにスマホのカメラを向けられてしまった。
「(まずい!)」
それでも大事にしないように、椿は小さな声で梨花を牽制した。
「離れて…!」
「イヤ!」
…なんて言いながら、梨花は心の中で舌を出していた。
抱きついたのはワザと。
撮られるために、わざと目立つ行動を取ったのだ。
「(待って、コレは拡散されるやつだ…)」
椿が死んだ目でスタッフを見ると、スタッフは心情を察して、店の中に戻るよう促した。
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