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人魚の雫  作者: 麻婆豆子


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18/31

逃亡者-5

 暫くして食事が届き、テーブルには豪勢な食事が並べられた。


「何かパーティーみたい!」


 渚が目をキラキラさせると、食べ物の匂いに誘われたラムネまで、ご機嫌そうにホワホワの尻尾をピーンと伸ばしている。


「好きなものとか分からないから色々頼んだ。好きなだけ食べて」

「わぁい!」

「ラムネはこっち」

〈ミー♪〉


 椿はラムネに、子猫向けの高級ドライフードを、脚付きのボウルによそった。



 しかし、渚は豪華な食事に無邪気に喜んだものの、口にするのは、野菜の生春巻きや鶏胸肉,フルーツなど、ヘルシーなものだけだった。



「渚さんて、食に気を遣っているんだね」

「そお?」

「いつもそんな感じなの?」

「うん。食べたもので体は作られるから」

「ジャンキーなものは食べないの?」

「そうだね…。家族にバレるとすごく怒られるから、なかなか…。ジャンキーなものは、もう10年以上食べていないかも」


 渚はフッと視線を落とした。

口元は笑っているが、家族との生活は、少なくとも明るく楽しいものはなかったことが伺えた。


「(家から逃げてきたって言ってたもんな)」


 椿は、渚にとって家族の話題は、触れられたくないことなのだと察した。


「まあ、何を食べるかは他人が強制することではないから、無理にジャンクフードを食べろとは言わないけれど、渚さんが何を食べても僕は怒らないよ?」

「あ…そっか」

「せっかく逃げてきたんでしょう?」

「うん」

「だから、食べたいものを食べなよ」

「うん」


 渚は細くてカリカリに揚がったフライドポテトを一つ摘んだ。


「…美味しい…」


 子供のように顔を綻ばせた渚を見て、椿は少し安心した。


「ならよかった」


 しかしその反面、こう思った。


「(食に関しては、僕も人のことを言えた立場ではないけどね)」




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