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東雲一高eスポ部っ!  作者: とら猫の尻尾
第一章 初心者だらけの革命前夜
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第2話 仲間(たぶん)ゲットだぜ!

 帰りのSHR(ショートホームルーム)が終わり、鞄に教科書を詰めていた大牙の元に――

 スススッと、二人の男子生徒が忍び寄ってきた。


「や、やぁ、伊勢木くん……」

「ど、どもでござる!」


 声をかけてきたのは、片やさらさらヘアーの中性的男子。片や汗だくメガネの時代劇オタク(?)だった。


「よかったら一緒に駅まで帰らない? 三人でゲームの話、しよっか」

「我ら、ただのゲーム好きでござる! 怪しい宗教とかではないでござるッ!」


 微妙に圧が強い。


「あ、ああ……いいけど……?」


 大牙は少し戸惑いながらも頷いた。

 その顔は、どこかうれしそうだった。

 あの沙羅の勧誘を受けていたときとは全然ちがう。


「オレ、志乃原レイ。趣味は……スマホゲームでアバター育てるやつ。課金は控えめ」

「拙者、丸山タイシ! 攻略本よりヒロインの攻略に命を懸けておりまする!」


(……クセつっよ)


 三人で階段を降りるとき、志乃原がちょっと照れたように言った。


「伊勢木くん、すごいねー。堂々と“ゲーム好き”って言えて。ボクなんか“趣味は読書です”って嘘ついちゃったよ」

「それなっ! 現代においてもゲーマーは差別対象っ! すぐ“陰キャ認定”されるんですゾッ!」


「う、うん……まあ、わかる」

 大牙はうなずきつつも、ふと思う。

 三人ともゲーム好きとはいえ、まったく好みが違う。でも――


(それが、逆にいいかもしれない)


 同じジャンルじゃなくても、同じ“好き”でつながれる。

 そう思った瞬間、大牙は小さくガッツポーズをした。


「えっ?」

「おうっ?」


 なぜか志乃原と丸山が驚いた。

 が、二人の視線は大牙ではなく――校舎の外、昇降口の先を向いていた。


 正門へ続く道が、カラフルなユニフォームの上級生たちで大渋滞していたのだ。


「……部活の勧誘だ」

「ぐっ、うっとうしき儀式っ……」

「どうする、大牙氏?」

「正面突破しかねぇっしょ!」

「了解っ!」

「抜刀――いや、抜け道なし!」


 三人は無言の意思でフォーメーションを組み、隊列を作る。

 先頭・志乃原、中央・大牙、殿(しんがり)・丸山。

 ガン無視ダッシュ、開始!


 しかし、その途中。

 大牙の足が――止まった。


「おい、大牙氏っ!?」


 大牙の視線の先。

 カラフルな部活ユニの列の中に、ただ一人、制服姿の女子がいた。

 見つけてしまった。


「伊勢木くーん、こちらですわー♪」


 満面の笑みで手を振るのは、あの理事長の孫娘――東雲沙羅。

 アイドルの握手会かと思うレベルで、輝き放ちまくっている。


「……詰んだ」


 大牙は、笑顔で迫る“ラスボス”を前に、小さくつぶやいた。


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