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ブッターニ・ケーラ&レーテ・シンダール

用事がある、とつれなく足早に学園内へと消えてゆくバルトロメオ様を未練たらたらにじっくりと見送った後、なぜかプランターに刺さってたバルドを抜いて治癒魔法をかける。


「うう・・・」


「殿下!お気づきになりまして?」


瞼が痙攣し、まぶしそうに蹙められる。


まつげなげーなこいつも。


「一体、ナニがどーしたのか・・・」


「なんか植え込みに刺さってたわよ」


「そうか・・・マインは大丈夫?なんかすごい力で突き飛ばされたんだ」


要人暗殺?!

思わず辺りを見回す。


「魔法の流れ弾・・・みたいな?」


「ちょっと聞いたことないな」


笑いながら立ち上がり、パンツのホコリを払う。

手つきが優雅だわ~。


「どっかで休む?・・・あ、カフェとか軽食とれるとこあったらさ」


思わず個室に連れ込(まれる)流れを作ろうとしてしまい、あわてて軌道修正する。


「いや、もう試験始まってるだろうし、終わってから案内するよ」


「え?もうはじまってんの??あたし達遅刻しちゃったわけ?」


あせる。


「いや、午前中いっぱい実技だから。のんびりいけばいいのさ」


「なんだ。・・・のどかなのね~」


「大陸中から集まるからな。今期は帝学狙ってた奴らもこっちくるし、一月ほどは入学試験中、さ。なんでも向こうに特待入学するハズだった天才もくるとか言ってたっけ。なんか俺と似た感じの名前の。・・・じゃ、またな」


「一緒にいかないの?・・・あ、身分枠か」


「そーゆうコト。平民は全員特待扱いだから楽だろうけど、貴族枠はキツいぜ」


手を振りながら去ってゆくバルド。


あー、バルトロメオ様と似てるっちゃあまあ似てるか。


バ、だけな。


振り返しながら姿が完全に消えたあたりで気付いた。


「どこ行きゃいーの?・・・聞いときゃよかった」


なんか平民がくぐったら即死刑のアーチとか侵入不可エリアとか絶対ありそうじゃん。


「おい平民」


「は?」


声に向くと、お仕着せ僧衣の小太り男子がこちらを睨んでいた。


「消えろ。目障りだ」


「ナニ言ってんの?あたし、ブタ語とかわかんないんだけど」


「なっ!・・お、おまえっ・・・!」


ヤバッ!素で返してしまった。

この反応だと、こっちでもブタは悪口になんのかしら。

・・・これは無礼打ち案件かも。


「ブタはひでーな。コレでも枢機卿の御曹司だぞ」


「ははっ!この平民、威勢よすぎだろ」


仲間が増えた。


う~ん、どっちもナミ-(マイナス)クソガキ風、て感じね。


「あら、そういうことなら貴方はテンプルナイツ筆頭ご子息AB、てトコロかしらぁ?」


フフッ、と鼻息。

枢機卿つってたし神都からきたのかこいつら。


「花と歌われしパンテオンはいつから養豚所になったの?。ねぇ、飼育員さん達」


「なんだと」


「正気かコイツ」


なんか冷静ねこいつら。

つまんないな・・・挑発が通じてない?

あ、ブタが剣抜いた。


「もういい、殺してやる!」


しっかり逆上したブタだったが、ドシッ!と重量感のある擬音とともに飼育員Aが遮る片腕に阻まれた。


「まてダミアン、お前は僧籍だ。殺るなら俺にさせろ」


ヤるならサセろ、って?ブタやガキに姦らせるかよ。

ブタの名前はダミアンらしい。思わず笑ってしまった。


「アハハハ!なんでブタがダミアンなのよ、それなら飼育員のアナタの名前でしょ!シュヴァイナーとでも名乗りなさいよ」


間髪いれずマジ顔に戻して続ける。


「由来はドイツ語で”ブタ”よ」


おもっくそ哄笑。

めっさ気持ちいい。

相手の容姿を醜いとなじり、あてこすり、貶める。

存在を強力に、言葉と態度を使って完全否定する。


「もうオマエは喋んな」


激痛が胸をえぐる。


「ヒ・・・ァ・・・」


悲鳴も上げられず、あまりの痛みにヒザが落ち、灼熱感と共に剣を引き抜かれた後、石畳に倒れた。


帽子が蹴り飛ばされ、なんかアタマをゴスゴス踏まれてるみたいだけど、胸の中心が機械的な剛力に捩じり潰されるような激痛でそれどころじゃーない。

つか、アタマの中がヤバイ。おっきな爆竹がずっと破裂し続けてる感じ。


突然痛みが消え、花の香りと音楽、そして光に包まれる。


あ、これは死んだwww


二回目だからわかる。


脳が酸素の消費を抑えるため、セーフモードになんだよね。


そんで突然暗く冷たい巨大な穴に引きずり込まれ―――――





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