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俺がトラブルを抱えたいい女ばかりに惹かれるのは、そこに魅力があるわけではなく、そこに魅力を感じてしまうからだ。影のある女とは話をすればすぐに仲良くなれる。なぜかって? それはきっと、俺にも影があるからだろう。
俺が背負ってきた影は産まれながらだ。俺には父親がいない。母親はいるけれど、中三の時に死んだ。遊んでばかりいる女だった。毎週違う男が俺の隣の部屋で寝ていた。見た目はいい女だったようだな。薬の飲み過ぎで死んだんだよ。どんな薬だったかは俺も知らない。知りたくもない。俺は正直、ホッとした。一人になれて嬉しかったんだ。タイミングもよかった。高校には行くつもりがなかったからな。働くつもりもなかった。おかげさまで俺は、母親の生命保険でしばらくは遊んで暮らす事も出来たんだ。
俺の母親は男運がなかった。金無しの暴力男ばかりが寄ってくる。たまにいい男が近寄ってきても、別の男に脅され逃げて行く。たまの金持ちには使い捨てにされるだけ。女って生き物はそういうもんだと学んだよ。いい女ほど騙される。けれど俺は、そんないい女を愛している。ほっとけない。側にいたいと思うんだ。
まぁ、そんないい女を弄んだりするのも俺だったりする。そんな時俺は、会った事もない父親のせいにするんだ。そういう血筋なんだってね。まぁこれは、きっと的をえている筈だよ。一度母親が、なんだかあの野郎に似てきたねって呟いているのを聞いた事がある。
この女とはさっき会ったばかりだ。タバコを咥えながら信号待ちをしていた俺が、目の前を横切るそのプリプリのケツを目で追いかけ眺めていたら、この女が突然振り返った。あなた私の事見てるの? なんて言われても、俺の視線は下半身から離れない。ショートパンツから伸びる生足には吸い付きたくなる魅力があった。そしてそのままここに来て、吸いついたんだよ。
この女は見た目だけでなく、その動きも最高のいい女だ。俺は本気でこの女の影を背負ってもいいと考えていた。今この最中にな。それ程にこの女のナニは最高なんだよ。ここにくる前から、俺のあそこはいきり立っている。この女だって似たようなもんだ。俺が手を触れる前から、あそこはビショ濡れだったよ。その太ももに流れ落ち、ピカピカと光っていたよ。しかしまさか、こんな形で背負う事になるとは、流石に考える暇もなかった。誰にも予想ができない現実ってのも、世の中にはあるって事だ。俺は人生の最後で、そんな事を学んだんだ。
結局のところ、俺はただの女たらしで、こうして惨めに一生を終えるんだな。それもいいだろう。最後に気分良く発射して、あの世にでもどこにでも行ってやるさ。それが俺の背負った影の行く末ってことだ。
鳴り響く銃声の中、悶絶の表情の彼が女の胸に倒れていく。